2019/11/12
WTF Bikexplorers 2019 Talks

Talk by Rie Sawada / Photo by Gritchelle Fallesgon

SimWorks USAを切り盛りするリエボー。彼女の日常やライドは相当に面白いのでぜひインスタ(@charries_cafe)もフォローしてみて欲しい。

パワフルな彼女が最近WTF! WTF!と騒がしい。
wtfって「What the Fuck! (何てざまだっ!)」を略して書かれているのを見るけど、どうも違うらしい。
その答えは昨年の記事「男性支配社会をぶった斬る。 WTF バイクエクスプローラーズサミットの記録」にも書いてあるけど、あらためて女性やトランスジェンダーやマイノリティ達の独立独歩を目指す新しいムーブメントの実態と、今年のWTFサミットについて彼女に聞いてみた。


あらためて聞くけどWTF Bikexplorersって何なの?

RIE:WTFはWoman、Transgender、Femの略、要は自転車業界におけるマイノリティってこと。既存の業界に対するカウンターとしてwtfの意味もかけてあると思う。
あたしも最初は何のことか分からないまま、「女の子のアドベンチャーライドコミュニティーだ!面白そう!」と思って去年2018年8月にモンタナ州ホワイトフィッシュで行われた第一回のサミットに参加したの。

女性のためのキャンプライドイベントだと思って参加したわけね。

RIE:そう。申込みフォームに “What is your pronunciation?(あなた自身の発音は何ですか?)”って項目があって、ネットで調べてもどうやって回答していいのか意味が分からなくて、とりあえず RIE とか Coffee Bike Girl とか Japanese Girlって3つくらい書いて申込みしておいたの。
それで当日、それぞれ一人ずつみんなの前で自己紹介した時に、他の人のを聞いてたら、実際の私の申込みフォームに書いた回答は間違ってた事に気づいて恥ずかしかった。
「みなさんそれぞれ自己紹介しましょう。あなたの名前と Pronunciation (発音) と出身地を言ってください。」ていう問いに対する回答は「私の名前はリエです。Pronunciation (発音) は “She / her” です。日本出身で、ポートランドからきました。」だったの。つまり、三人称でなんて呼んで欲しいか。みんなそれを書いたネームバッヂを胸に貼ってた。
隣の人達にも聞いたけど、その人もPronunciationの意味を分かって無かったけどね(笑)

他にもWTFの意味をよく分からず来てる人もいたんだ。

RIE:そう。色々な人が全米から100人以上集まってた。あたしはサミット前に行われた “ライドシリーズ” という、サミット開催地周辺のグレーシャー国立公園を30人ぐらいで行う3泊4日のグループキャンプライドに参加してからサミットするっていう流れだった。私の中ではたくさん女性アドベンチャーサイクリストの友達ができたらいいな〜という事で参加したの。

WTFバイクエクスプローラーズサミットって具体的には何するの?

RIE:学校のクラスみたいなセッションっていうのがあって、いくつかの場所で時間ごとに先生が講義を開くみたいな。それに参加する。例えばバイクフィッティングとか、メカニックの男がいなくてもバックカントリーで自転車トラブルに対処できるメカニッククラスとか。
その色々なセッションの前に100人ぐらいの参加者が集まって、最初にオーガナイザーが「ここでは性別に関する事を言うのは無し!みんなオープンに話ましょう!何か言いたい事ある?」って呼びかけから始まった。
でもその時オーガナイザーの一人が「Yes! No, Dude here! yeah!」って言っちゃって、そのDudeも良くないって意見がすぐに出た(笑)

難しいな(笑)内側にDude(男性性)を持ってる人もいるんだ。

RIE:あたしはそういうの気にしないけど、No Dude!って言われて傷つく人もいるって事。それがSheだかHeだか分からないけど。GirlsとかLadiesとかそういうのもダメ。

何か言いたい事ある?ってそういう性別に関するテーマ?

RIE:何でもいいの。みんな手を挙げる。出た意見はホワイトボードにどんどん書いていく。例えば、「ここにフォトグラファー何人いる?ちょっと立ってみて。」とか。そして、「写真撮られたり公開されたくない人はちゃんと覚えて」とか。

SNSとかに顔出したく無い人いるもんね。

RIE:性別どうこうっていうより、相手の事をちゃんと尊重しましょうっていう態度だね。
呼び方もそうだけど、勝手に憶測するんじゃなくて、どうして欲しいか確認して合意を得ましょうっていう事。
友達のプロのフォトグラファーも、キャンプライドの前に「みんなの自然の姿を撮りたい。それを作品にする事に同意して欲しい」っていうのを一筆書いてもらってた。嫌って言う人は撮らないようにしたり、公開しないようにする。そのあたりにセンシティブなトランスジェンダーもいるし。裸や下着で川に飛び込んだりとかするシーンも撮ったりしたけど、それを出しても良いかって人によって違うからね。

確かにそれは重要な事だと思う。

RIE:まあ、そういう事を全く知らないで、キャンプライド面白そー!!ってだけで行ったんだけどね(笑)で、実際に行ったらもう他のみんなのパワーが凄くてびっくりした。
他人を尊重するって前提が共有されていると、気持ちが自由でこんなにハッピーでワイルドでパワフルになれるんだっていう。ひとりで行ったのにみんなフレンドリーでお互いを受け入れてくれてとても居心地が良かった。

リエボーよりパワフルって凄いな(笑)

RIE:第一回の時はサミットのキャンプチケットが取れなくて、あまりセッションに参加できなかったけど色々あったよ。キャンプの夜に暇な時は紙と鉛筆を用意してZINEを作ろうっていうアートのセッションとか、キャンプクッキングセッションとか。

そういうのを教えてくれるのはどんな人なの?

RIE:普段は学校の先生をやってる人が多かったかな。その人達も全部WTF。ボランティアでやってくれる。
オーガナイザーが依頼して呼んできてる。8月に開催するのは夏休み中だからっていう事情もある。学生の参加者も多かった。
バイクファッションっていうセッションもあって、それはファッションデザイナーが先生だった。CRUST BIKEのパートナーのCheechと、Road Runner BagsのオーナーのEster。

バイクファッションってどんな内容?

RIE:別に自転車用ウェアなんて着なくていいのよ。なんでも良いの!っていう感じ(笑)私も結婚するまでは自転車なんて興味なかったから今でも普通のファッションよ。オーバーオールとか。ていう。

そうやって、もっと自由に考えようよ!っていうマインドの持ち方の他に実用的な話題もあるの?

RIE:それもある。参加者同士の情報共有とか。生理の時にどうするかとか、オーバーオールの裾はどうしてるのかとか。私はこういうのを着てるっていうのをシェアする感じ。
他にも、オーガナイザーの一人がRIDE with GPSで働いていて、キャンプライドのルート計画方法のセッションがあったりする。ビギナーとエキスパートのセッションがあった。みんなRIDE with GPS使える?めちゃくちゃ便利。
色々な人が参加していて、「いま自転車で東海岸のボストンから西海岸のシアトルまで横断中なの」とか「カナダから自転車で来たよ」とか「電車で来て、サミット後は1週間自転車でキャンプしながらシアトルに帰るよ」とか。みんなパワフルだな〜って圧倒された。

めちゃくちゃハードコアライダーだね。

RIE:全然乗らない人もいるよ。結局WTFってなんなの?っていうのは、オーガナイザーいわく、「コミュニティー」だよと。だから誰でもウェルカムなの。WTFで私も入りたいって人がいれば、情報共有のSlackに招待してる。

Slackがあるんだ。確かにそういうのに向いてるかも。

RIE:そう。それはWTFポートランドのコミュニティーだけどね。他の場所にもあると思う。
最初は8人でポートランドのSlackを始めて、今は120人ぐらいになってる。例えば、 #WeekendRide ってトピックを立てれば、それに行きたい人がどこ行く?とか書き込む。#WeeklyRide だったら、今日仕事終わったら集まってライドいってビール飲もうよとか。あと、キャンプ道具の貸し借りとか。

なるほど。サミットは集会であって、ローカルのWTFがあるわけだ。

RIE:各地にコミュニティーができつつある。インスタのアカウントがあったり、みんな色々な方法でコミュニケーションしてる。メッセンジャーの世界大会みたいな感じ。

第1回と2回目で変わった事はある?だいぶ拡大した?WTFは今後どういう展開になっていくの?

RIE:第一回の時は出会う事がメインだった感じ。今年はセッションが強化された感じかな。お互いSNSでつながっているけど、久々に会うみんなのパワーも物凄かったね。クリス・キングの家の庭に集合して会場までライドしたりした。色々な人や企業にもサポートしてもらってる。
でももうサミットは開催しない予定。その代わりにポッドキャストを始めたり、ジンを作ったりして、コミュニケーションとネットワークを作る事に専念する。すでにローカルに色々な動きが出てきたから、集まる必要が無くなってくる。WTFのレースチームを作る動きもあって、バイクパッキングに限らない冒険もしていきたい。

業界も少しずつ変わってくるかな。

RIE:こういうマイノリティへの対応は自転車業界でも始まったばかり。こないだ行ったQBPのフロストバイクでも先進事例として集まったバイクショップにシェアされていたし、WTF向けのスカラシップ(奨学金制度)もある。
よくお世話になってるショップのゴールデンプライヤーズもそうだけど、WTFサポートを掲げているお店も出てきていて、信頼できるっていう目印になってる。
サークルズも昔から女子のコミュニティーがあったし、今もAYAちゃんキョンちゃんとった女性スタッフがいるから進んでるなーと思うよ。

日本での展開はあるのかな?

RIE:まだ日本でバイクパッキング!って言ってやってる女性はほとんどいないように思うけど、自転車に乗ってる人はいっぱいいるし広がってくると思う。どこかへライドに行く時にサポートしあえるようなコミュニティができれば最高。
WTF JapanのSlackも始めたので入りたいって人がいれば連絡下さい。
こんどカルチャークラブでそういう話をするので、ぜひご参加下さい。詳細は下記に。


WTFの話も含む、リエボーのSimWorks USA奮闘記をライブで聞けるトークセッションが開催されます。どなたでも参加できますのでアメリカ自転車ライドの面白さをぜひ聞きに来てください。

WTF Bikexplorers 2019 Talks
2019年11月15日(金) 19:00-21:30
場所: Culture Club (Google Map)
参加費:1,000円
(スナック&ドリンク&ラッフルチケット付-当日払い)


WTF Bikexplorers
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