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きっかけはやはりナーブス(NAHBS)だった。

いまでこそ、多少は有名になった。
毎年2月の最終週(ほとんどの場合は)に、けっしてお世辞にも多いとはいえない来場者と出展者が、誘致に協力(お金)をしてくれたアメリカの各地コンベンションセンターに集い、ソーシャライズドを展開する。 一番の目標は出来る限りのプロモーション、多くのページを得るためメディアへの対応がとても重要だ。 ナーブスから卒業していったビルダーは他人のチカラを借りずとも、そのパワーを得た証ともいえるだろう。 そして多くのマスプロ・メーカーや中国の工場関係者が未来の参考(お金)になるアイデアを漁りにもやってくる現場でもあり、もちろんユーザーが一番リアルな製造者であり理解者たちと直接会話ができ、おのおのが愛する物事を紐解くことができる、とても大切な時間と空間であるといっても大袈裟ではない。

そう、いろいろとケッタイなんだけど、ある意味一番豊かな自転車展示会がナーブスだと信じている。
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ぼくが初めて行ったナーブスはサンノゼ、カリフォルニア。
何度も言ってるけども、ど衝撃を受けた。
僕の人生が決まったと言ってもいい過ぎじゃない。
そしてデサルボとの初見、そしてハンターと出会い、シシップはまだぼくには早かった。
そんな始まりの年だった。
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翌年にはリーマンショックのお陰で前年のサンノゼに来ていた、ほぼ半数のメーカーが製造自体をやめていたが、運命的にポートランドだった。
ナーブスが花開いた瞬間に立ち会ったと思っている。
たしかランスも来ていたし、死んでしまったロビン・ウィリアムズにも会えた。
少ないながら全てのひとが輝いていた、グッド・エラだった気がする。
もちろんバイクやひとは今でも輝いている、でもこの年を境に緩やかに変わっていった気がしている。
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そんなナーブスに何年も通い続けて、学んだし、今年は出展もした。
だからこそやりたかった。
今年こそやりたかった。
そして機は熟していた。

いまになって、落ち着いてきてやっと感動している自分がいる。
だから筆を久しぶりにとってみた。
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P B S = PERSONAL BIKE SHOW

勘のいいあなたがたなら知っているであろう、そうアメリカの公共放送局だ。
もとい、パーソナル・バイク・ショウだ。
単純にパーソナルなバイクを展示しようってだけの簡単なはなしなのだ。
ただ、実際に自転車という乗り物を製造して生きている、もしくは自転車という乗り物にみょうに取り憑かれている人たちの、もっと細かくいうと、ぼくが個人的に大好きで日本のみんなに出会わせたかったひとたちを、トーキョーではなく、ナゴヤに集めたかったのだ。
chris-kings-own-cielo-1-1335x890 Chris's Cielo Sportif Lugged Racer
そうちょっとした個人的ヒガミコジラセを展開してみようと思ったのだった。
そしてできるかぎりクールにやらないといけなかった。
いわゆる展示会の異常なまでのつまならさを知ってしまっていたし、大切な祭り前だからこそ。

そしてどちらも成功した、と思っている。
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6月のわれわれの祭りといえばただひとつ、グルメセンチュリーなのだけども、地元ここ愛知でクリスキング社の協力もあり、開催させてもらっているわけだが、なによりもありがたいのは参加したいと表明してくれる多くの日本人がいてくれて、そして実費でも来日したいと希望する海外の友人たちもいてくれるということなのだ。 そして今年は特に海外からの希望が多かったこともあり、この機会に理想とする社交場の構築を日本で目指してみたというわけである。
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このPBSに参加してくれたビルダーたちは、もちろんグルメセンチュリーを最大の目標にしてきているのだけども、その限りある日本での滞在を特別で有意義なものにしてもらおうと、グルメセンチュリーを中心軸としながらも、それ以外にわれわれがなにを提供すべきか考え、スケジュールを調整し、すべてが最高の状態で実行できるよう目指した。 加えてなによりも大切であるのは、現地での人との交流であると経験から理解していたので、より多くの人たちに出会えるようにと。
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持ち込んでもらう自転車はあくまでも、日常的に使っていて、祭り後に繰り広げられる予定のバイクツーリングに対応しているというのが一応の条件。 展示会のために組み上げるドリームバイクもいいけれど、本当に知りたいこととは普通であり、日常なんだから。

そしてそれぞれの個性を最大限に引き出せるように、なるべく詰め込まないイベント、過剰なプロモーションも要らない、そしてシャイな日本人たちが返事ではない言葉を話し出せるようにと、現場であるバイクショップ・サークルズを通常営業からはじめ、展示台と照明を多少は考えるものの普通と日常感を意識するように指示をした。
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ショウは3時から。 はじめはゆったりとメローに。

水曜日、なんでもない平日の展開が最高だ。

そしてたった1日のみ。

とってもクールだ。

5時を過ぎ、すこしづつ人が集まってくる。
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ビールはクリスキングの地元からローグを取り寄せた。
とは言ってもそんなに誇張すべき理由もなく、僕らのイメージを伝えると、面白いと言ってきわめてリーズナブルに彼らが提案してくれたから。

アメリカの麦酒カンパニーはとても自転車乗りに寛大なのだ。 チコにあるシェラ・ネバダだって、アメリカでのグルメセンチュリーには飲みきれないほどの大量のケグを送ってきてくれている。 まずは飲ましてしまえって魂胆だ。 そしてしっかりとあとになって機能している。

たまに思うことがあるのが、日本のカンパニーにはプロモーションや販売の意味をさほど理解していない、むしろしたくないとも思える組織を見かけることもある。 そもそも販路という概念を持たずにモノを作り出す人たちも山ほどいる。 良いものを作れば売れると信じてしまっている人もいる。 またその多くは、お金を使う意味とその行動パターンがほぼほぼ一つしかないと考えていそうだなと個人的には思っている。 そこをどんどんと異なった方法で突きつづけていくってのが、いわゆる世代交代闘争には必ず必要だと思うのだけども、、、だけれども、行動につながっていない感覚が市場にフローし続けている。
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Curtis's Retrotec Twin Disc CX
ちょっと話はそれてしまったが、酒の肴はオリンピア・プロビジョンから取り寄せたサラミと腸詰め。
素材がいいからきわめてシンプルに、デミーノとケイタがアーリーバーズのキッチンで忙しく動いているのがなんとも気持ちいい。

オリンピアのミートはぜひポートランドに行った際には食してもらいたい逸品なんだけど、おもえば最近のハンドクラフトの影には効率生産から抜け出してみたら、行き着いた先は過去だった的な行動とオンラインや共有意識と組み重ねることによって組織化、そして成長が促進され、再び手を動かす喜びや努力の大切さに気づいたのかもしれない。 その手を動かす仕事の代表がまさしく料理であり、それこそさまざまな人種が普遍的で丁寧な食文化の再構築を開始し始めているのだと思っている。
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7時をすぎるころにはほとんど店内はフルパック。

いたるところで会話が展開されている。

イメージ通りで最高だ。
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Jeremy’s Sycip Break-Away Road
8時、招待者に対してのインタビューが開始。

われわれの好奇心と彼らの経験が対峙する。
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いつ、どうして自転車を作ろうと思ったか? 

ベストとワーストのライドの記憶?

日本での滞在で期待することとは? 

本当にこの職業で食えているのか? ←これは嘘。
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質疑応答も始まり、熱気を帯びる。

シャイな奴らもこころから笑い出す。

そうだ! バイブスをだせよ。

思いを伝えるんだ。
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John's Firefly Ti Disc CX
こんな機会はもうないかもしれないぞ。

リアルがそこにあるんだ。 

つかむんだよ。

そんな感じでぼくのこころも踊りだす。 
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分かり合える仲間と時間を過ごす。

憧れではない、ただの仲間。

同じ趣味を持つ仲間。 

速くなくてもいい、強い仲間たち。

悟っているモノとコト。

そんな代表がクリス・キング御師だったりもするんだけど、説明は今はまだいい、じきにわかる。
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そして最後にキングのための時間が訪れる。

40年の月日はきわめて長いというわけだ。

そしてほぼ全ての出来事を知っている。

たまにぼくらにも歴史のおすそ分けしてくれている。

そんな仲になれた。

最高だ。
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P B S = PERSONAL BIKE SHOW

やってよかった。 やれてよかった。

まだ見ぬ多くの潜在力に対してはやりきれなかったこともある。

でもクールにやるにはしょうがない。

でも、もしまたやれるのなら、もっと多くの人になにがクールかを伝える努力をすべきだと思っている。

でも、これくらいでいいとも思う気持ちもある。

メジャーとインディーズの狭間はやはり必要なんだというアタリマエの葛藤が今ジャパンでも始まったということなのだろう。
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Mike's Desalvo Ti Disc CX
AFTER Fにつづきます。



Text : Shinya Tanaka / Circles,SimWorks
Photo : Eri Tanaka / [HOMEPAGE]
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