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2026/4/6

WHO BUILDS GOOD BIKES – Shige builds good bikes!

シムの日(4月6日)にスタートした自転車を”組む人”にスポットライトを当てる連載シリーズ。

初回は名古屋の自転車店サークルズの最古参のひとりシゲこと池山 豊繁さんを招いて話してもらいました。

サークルズが組むバイクのスタイルを体現するだけでなく、SimWorksプロダクトのリリース用バイクも企画する彼のバイクビルドの背景に迫ります。


今日はシゲのバイクビルドの背景を探っていきたいと思います。よろしくお願いします。サークルズ歴何年になったんですか?

よろしくお願いします!サークルズ歴=自転車メカニック歴で17年になりました!

業務で色々なバイクを組んでいると思うけれど、この1年で組んだ中で印象に残っているものはありますか?

色々あるんですが、今回はサークルズのお客さんからの依頼で組んだものを紹介したいと思います。バイクフライデーのダイヤモンドラマです。

バイクフライデーは全てのオーダーを取りまとめてメーカーとやり取りする業務も担当してるんですよね。

そうですね。この事例は北海道在住のお客さんとのメールでのやり取りから始まりました。最近は店頭には立ってないんですが、こういう問い合わせ対応からスタートする事もあります。

実際に会ったことが無い人とのバイクビルドはどういうやり方で進めるんですか?

この方はオーダーの最終決定と納車時に名古屋に来てくれたので2回は会ってますね。そういう事も含めて楽しめる方でした。納車してすぐに飛行機輪行で持って帰るという、バイクフライデーの楽しみをいきなり体現していただいて。

元々サーリーなど他のバイクも色々乗られていて、次はバイクフライデーを車や飛行機に積んで移動して乗るというのをイメージされているものの、車種やパーツ構成は決まってない感じでした。ニューワールドツーリストとも迷ったんですが、北海道のワイルドな悪路の走破性を考えてダイアモンドラマを提案しました。

依頼者は遊び方とかその道具との付き合い方とかしっかり理解されてる方っていうイメージがしますね。遠くのお店まで行くという買い物の仕方もかっこいいし。
パーツ構成はどうやって決めていった感じですか?フロントシングルだったりサムシフターだったりしますね。予算の話とかもあったりしました?

悪路も走る想定なのでリアのギア比をワイドにしたい、でも石などにヒットさせないようにマイクロシフト/アドベントのショートゲージにしてます。タイヤはシュワルベのリトルジョーっていうモデルで、日本入ってないモデルですが、サークルズで取り扱いたくてこれをきっかけに取り寄せました。

ハンドルはSimWorksじゃなくてすいません(笑 サーリーのオープンバーです。折りたたみを考えるとそこまで幅広ではないようにしました。組み方はベーシックですが、ワイヤーの取り回しなんかも折りたたみを意識して長めにしてますね。

具体的な予算の話は無かったんですが、今持っている自転車のパーツを流用する案もあって、最初から抑えた予算で提案していました。

こうやって決まっていくのに何回ぐらいやり取りするんですか?また、どんな話をして提案していくんですか?

最初のメールから納車まで半年ぐらいかかって、メールでのやり取りで20回以上、電話でも話しましたし、2回対面でもお話ししてます。

いつも大事にしているのは、依頼者がどんなライドをしたくて、どこに行きたいのか、生活や遊びをどう楽しんでいくのかということをできる限り具体的にイメージしてそれを実現する機能を持たせるということですね。途中で僕や依頼者も迷いが出る場面もあったりしますけど、その時もまずその基本に立ち返ります。

そのバイクを使ってやりたい事を実現してもらうには、バイクの性能はもちろん、地域の環境や普段の生活、道具に対する考え方など、依頼者の事をたくさん知る必要があるんですね。
そうやってバイクを組んだ場合、納車後にそれがイメージ通りだったか気になったりしませんか?

もちろん多少は気になります。でもサークルズで組むバイクはほとんどそうですが、100点満点の組み方ではなく、購入者がその後に自分で好きにカスタムできる余白みたいなものを残すこともイメージしてます。実際に乗り出すと必ず改善点が見つかりますし、それを自分でカスタムしていけるのも自転車の魅力ですから。もちろん、依頼者がそういうのが得意かどうかで余白の調整をしたりします。

理想や予算がしっかりあって完成された1台を組むのは、サークルズテイラードで扱っているハンドメイドバイクで行うことが多いですね。ドリームバイクはもちろん最高ですが、自分でカスタムして使い倒していく遊び道具としての自転車も同じぐらい最高なんです。

ちょっと意地悪な質問かもしれないけど、依頼者の要望やカスタムの余地などを重視すると、サークルズらしさとか組み手であるシゲらしさを発揮するのが難しいのでは?

サークルズらしさというのは、何の商品や情報を仕入れてくるかという時に発揮されるものかもしれないですね。そのセレクトの中から要望を聞いて提案していくことになります。提案のベースはやはり自分の経験だったり情報だったりするので、同じ依頼でも人によって組み方は変わってくると思いますね。

なので、色々と依頼者と話してイメージを作り、最初の提案(=見積り)を作るところが僕の勝負どころだと思っています。

なるほど。確かにサークルズのバイクアーカイブを見ていると、ベース車両の魅力と組み方の”余白”の部分のバランスがアイデンティティになってると感じますね。ちょっと高度な話だとは思いますが。

最初に言った通り、自転車は遊びや生活の道具であり、ファンツールなので、それをどう実現していくかという時に、自由が大きかったり、こだわる場所をしっかり決めたりと、コミュニケーションを通じて形にしていくということです。

ライフワークでもあるBIKE to Fishing

なるほど。ありがとう。次はそういったバイクビルドの考え方や、実際に組み上がるバイクのスタイルがどこからくるのか聞きたいです。メカニック歴はどうやって始まったんですか?

学生の頃にサークルズでバイトを始めた感じですね。サークルズ一筋で17年目です。当時メカ作業をしながら田中さんやSALさんの接客に聞き耳を立てたり、発注作業を通じてお客さんや組み上がるバイクとその使われ方を想像したりしてました。そうやって培ってきたものや、サークルズのスタイルは今も変わってないですね。

当時はピストから入ったりしたんですが、その後レースに出たり、釣りなどのアウトドアと組み合わせて遊んだり、色々なライドの実体験もバイクを組む時のリソースになっていると思います。

シクロクロスのカテ1を走っていた時代

大学はデザイン系だったよね?あと、元ヤンキーだった(笑)そのあたりもベースになっている?

コンビニ入るのに角度を気にして切り返すぐらい車高の低い車には乗ってましたね(笑。車も買ったままではなくて自分の好みに改造するっていう文化の中で色々やってました。
大学は建築都市環境デザインを専攻していたんですが、工学系というよりデザイン的要素が強くて、周りにも個性的な人が多く、着る服とか使う道具なんかもどうこだわるかというのをすごく影響を受けたと思います。

ただその個性を押し付けるのではなくて、サークルズという大枠の中でセレクトした商品や、自分のライドで得た経験を通した上で、その自由の可能性をお客さんにも感じて欲しいということですね。

お客さんに提案するベースとしてサークルズの仕入れがあるという話ですが、具体的な自転車やパーツ、スタイルの情報って何か参考にしているものってありますか?

やっぱりThe Radavistだったり、SimWorks USA周りの情報だったりはチェックしてますね。あと、年1回ぐらいはアメリカに行ったり、向こうから人が来てくれたりするので、そこで出会ったユニークな人たちとコミュニケーションしたりフォローしていると色々と参考になります。やっぱりものづくりもビジネスも情報も人との繋がりが一番ですね。釣りやスニーカーの情報はSNSで仕入れて、それもバイクビルドと無関係ではない気もします。

最後に、シゲにとっての「Good Bike」はどんなものですか?

そうですね。やっぱり乗り手、使い手の道具になって使い込まれていて、その人の感性や暮らしにフィットしているということですかね。僕はそのベースを作るということを重視してバイクを組むという意識です。

ありがとうございました!