-Tuesday Selection- NAHBS Days 番外編
NAHBSの最大の功績とはやはり1年ごとに開催地が変わることなのだろう。
それは旅行好きにとってはべガスやロス、ニューヨークなど、特定箇所にスタックし続けられるよりは遥かにましなのかもしれない。
そしてシャーロット=NASCARとしか考えていなかった僕らにとって、プリティーアメージングな空間があることを到着したのちに知ることになる。
シャーロットのダウンタウンより車で約45分ほど走らせた、Statevilleという小さいながらとても美しい古い町並みの残る場所にそれはあった。
それはMOMBAT (The Museum of Mountain Bike Art & Technology)と呼ばれる新旧を問わず自称マウンテンバイク乗りならば必ず行ってみたいと思うであろう場所だった。 マウンテンバイクが生まれようとし始めた創世記時代Balloon Tire Eraから、誰もが”夢”を追いかけていた発展期時代 (80年代後半〜90年代) にかけての様々な傑作や駄作、そして現在にとても近い熟成期とでも呼べる時代までのバイクとコンポーネンツを通してズラッズラッと展示してあるのだ。
1階はFirst Flight Bicycles (FFB) という80年代後半より続く老舗自転車屋であり、このFFBは現在マウンテンバイク初期の歴史に詳しい人ならば、とてもよく知っているであろう“Mountain Goat”の版権を所有しており、その歴史をリスペクトしながらモダナイズド(現在のフィールドで使い切ることができる)された“ニュー マウンテンゴート”の企画、及び販売をしている。ちなみにその現在のOEM製造を行うのがSyCipBikesなのだが、その縁もありショップの営業終了後にChrisKingクルーとSyCip親子、Retrotec夫婦、そしてSimWorkersおよび販売店様でお邪魔することになった。
もう正直、そこは”圧巻”の一言で、通常営業している1Fの店内から、名だたる歴史的名車群、約100~150台がほぼ”どノーマル”な状態で屋根から吊るしてあったり、空間を見つけてはおいてあったり、2階に上がるとマウンテンバイク博物館の名に相応しく1F以上の圧倒的な数の、”極上”と呼べる伝説的なマウンテンバイクがところ狭しと展示され、そしてその一部は”販売”すらされている。故にもう何がなんだか分からない感じにどんどんなっていく自分がわかる。
カーティスがプレゼントしたワインを開けるのにはうってつけの時間。
少し酔いが回ってきたところでいざゆかん!
魔界の入り口へようこそ。
ここで正直に話すと、まずそれは色々と諦めることができるということだ。遠い昔になるのだが、リーバイスのデッドストックがそれはもう大量に積み上げられている巨大倉庫を見た時と同じような感覚と同じだった。追い求めて追い求めていたそれらは、遥かに僕らの想像力を超えて存在することを知り、それらを所有する欲望やそれらで一獲千金的商売をするという浅はかな考えは一瞬でどこかに消えうせ、最後には市場の摂理を知ることになる。そしてやはり年を少しだけとった僕は、自分の進んできた道は決して間違いではなかったとも理解出来たことが幸いだった。
じっくりと中を見渡し、大きく息を吸い込んで、それぞれの個々がそれぞれの思いを胸に抱いてその博物館内をじっくりと散策する。あのクリスキングでさえも、ジェイ & ジェレミーシシップでさえも、そしてカーティスイングリスもその圧倒的な物事と歴史と自分の思い出に少しだけひれ伏すことになったのかもしれない。
そしてそこにはやはり僕らSimWorksのモノづくりに参考になる物はとても多く、そして様々な思いが脳内を駆け巡った。何が僕らにできて、何を僕らはしたいのか? そして何をどう創るべきなのだろうなのだろとか? でもはっきりと目指す道が見え始めた時、最後まで残っていた不埒なとも呼べる”欲望”というものがふっと消え去っていった。
そして帰り際にみつけたその看板も僕の心を穏やかにもしてくれた。
(Our staff is accustomed to dumb questions…)
これでいいのだと。
まだまだ続きはあるのですが追ってまた気が向いた時に話し出します。
Text : SHINYA TANAKA
PHOTO : RIE SAWADA