[Bike 伊豆 between you and me] 哲学的に非ず禅問答に非ず、富士見ダートクリテ。
体調が優れない日々を送っているのですが、それも手伝ってか、休日はとにかく遊びに行きたいと強く願っています。
遊べば体調が良くなるという嘘みたいな本当の話。
6月17日。
急遽、参加を決めて走ってきたのは富士見ダートクリテ。
ハッシュタグは#fujimidc。
時間を少々遡りまして、6月10、11日の二日間に渡って家族と東京ディズニーランドを訪れました。
嘘か誠か、小学二年生の長男が、クラスでディズニーランドに行ったことがないのは自分だけだと話すので。
これの見返りだったのかはわかりませんが、突然のレース参加申請もすんなり受け入れてもらうことができたのでした。
少しだけディズニーランドについて記しておきます。
植栽にしても、あらゆるディスプレイにしても、効率を無視してとにかくコンセプトを追及しようとする姿勢に心打たれました。
レストランの厨房を覗いても、イミテーションの食器や調理器具で徹底的に世界観を演出し飾り付けられています。
しかも掃除しにくいであろう演出であるのに、どこまでもクリーンで。
来園者に日常を忘れさせる為のシステムと努力が確かに存在していました。
二日間の夢の国から平日の現実世界に、そして次は土の上の社交界に。
王滝を終えて数日間は運動の一切をやめてオフシーズンを楽しんでいました。
久しぶりの飲酒もしました。
そしてまた頑張ろうと思いました。
レースを通じて知り合った友人達との触れ合いに、決意はまた強固なものへと変わっていくのでした。
まだまだ懲りていません。
これまで、対コースであったり、対時間であったり、とにかく哲学的で禅問答にも似たレースばかりを走ってきました。
世界とは宇宙とは宗教とは科学とは平和とは何か?
己とは何か?
そういうことを考えながら走ってしまいそうなレースばかり、そう、王滝とか・・・。
しかし今回初参加となったfujimidcは趣きが大きく異なります。
短時間高強度、終始全身全霊。
自分が何者であるのかなどと考える時間は全くないレースです。
今まで短時間高強度のレースを避けてきたのは、ひとえに苦手だから。
克服するなら今のうちにと思い立ったわけです。
コースは1周800mほどのショートトラックで、ルールは2ヒート制。(最上位となるエキスパートクラスのみ3ヒート制)
1ヒート目に3周回、2ヒート目に10分+1周。
2レースで獲得したポイントの合計点で最終的に順位が決定します。
そしてこのレースならではのルール、トップから20秒以上遅れた選手は数秒を短縮できるショートカットが許されます。
第1ヒート
シングルスピードクラスが設けられているのですが、エキスパートに次ぐレベルのスポーツクラスにエントリーしました。
スポーツクラスにCJの女子エリートクラスのトップ選手がエントリーしていたため、さてぼくの脚でどれくらい太刀打ち出来るものなのであろうかという興味に起因します。
スタートは2列目中央。
1周目のみシングルトラックの登りではなく、道幅の広いジープロードを駆け上がります。
この登りで先頭に近い位置にいないと後の展開は望ましいものになりません。
しかし、瞬発力に乏しいぼくは前に出れず、真ん中ほどの順位で登りを終えます。
コースの大半はシングルトラック。
なかなか抜き所が少ないのですが、少しでも道幅が広くなるところでペダルに全体重を預けて前に出ます。
ギア比は34×18で、少し重め。
登りでの急加速が難しいギア比ですが、何とか堪えて前に出ます。
どうやらトップは単独で逃げている様子、そしてチェイシンググループが3人。
その3人を追う、革靴を履いてチタンのシングルスピードバイクを駆るヒゲとメガネの男。
登りで3人のパックに詰めよっていくのですが、平坦の区間で大きく差を開けられているようです。
コース終盤の長いトラバースの平坦区間はシングルトラックで木の根が多くスピードが出にくいはずですが、やはりパックになるとそれだけで単独のぼくよりも速いのかもしれません。
そして最終周回。
ここで20秒ルール。
トップとのギャップが20秒に達してしまったようです。
数秒をショートカットし、女子のトップエリートの選手を含む3人のパックの後姿を確認。
シングルトラックの登りで一気に詰め寄り、ここで4人のパックとなりました。
さて、これからどうしたらいいものか・・・。
シングルトラックでは抜くに抜けません。
強引に行くべきか?
登りのペースは速くはなく、心拍数が落ち着いていきます。
敢えて休んでいるのか?
どうしたらいいのかわからず、困り果てているとそのまま登り切って、そして下り、平坦でも何が出来るというわけでもなくただ逃げられないようにぴったりくっついて、フィニッシュ。
何も出来ませんでした。
5位。
悟ったのは、レース勘の欠乏。
第2ヒート
女子エリート選手達は2ヒート目以降はエキスパートを走るということで、この時点で3位ということになり、1列目中央からのスタート。
ジープロードの登りに二番手で突入するも、スリップダウン・・・。
ほぼ最後尾に下がってしまいました。
またしてもジープロードで先頭に出るというプランが消し飛びました。
考えられる限りで一番酷い状況のように思えましたが、もう使い物にならなくなったプランとひざ小僧の皮膚を粗い砂利で削り落とし、軽くなった心と体でレースに戻ります。
開き直りました。
グリップが石を食べました。
ネバーエンディングストーリーで最も忘れられないキャラ、ロックバイターを連想させます。
気を取り直して追撃。
登りで巻き返していきます。
シングルトラックの登りでも勢いのままパスを重ね、3番手まで上り詰めました。
第1ヒートの最終周回でもこのように前に出ることが出来たなら、と振り返っている場合ではなく、前を見るのです。
最後の下りとトラバースの平坦で2位の選手との差を一気に縮めます。
荒れ狂うかのような木漏れ日の中、木漏れ日というよりも光の氾濫の中での2位争いはほんの刹那の出来事だったのでしょうけど、ぼくの人生を彩る大切な時間となることと思っています。
しかし悔しくも打つ手なし。
第2ヒートは3位。
第1、第2ヒートで獲得したポイントの合計でスポーツクラス3位となりました。
3位のぼくが2位で表彰されているのは、1位の選手が帰宅したため繰り上げになったからです。
初めて走る種類のレースでしたが、思っていたよりはレースっぽいことが出来たと思います。
しかし自分の走るレースを観察する能力の欠乏と、クラッシュという大失敗があり、取り溢した感は否めません。
レース勘はレースでしか養えません。
安直なぼくは勝つまで挑戦したいと考え始めています。
次回は7月9日。
ぼくも取り溢したものを回収に行くべく、参加の方向で考えてはいますが、最終的なジャッジは妻が行うので機嫌の良さそうな日を見定めて打診していく所存です。
グリースインジェクターツールでのグリスアップでは回転を妨げる異物を取り除くことが出来ず、シールを外してのオペレーションとなりました。
定期的にクランクを抜いて指でベアリングを回してみることをお勧めします。
また、シムワークスではクリスキングのオーバーホールサービスも行っていますので、こちらもご活用ください。
なお、この度のレース中の写真はすべて友人の高木基広選手に撮っていただいたものです。
ありがとうございました。
text : Hiroki Ebiko / SimWorks XC Racing [Blog] [Instagram]