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2013/11/27

-Service Tips-

#1: R45ならびにKingハブ全般について。


まくらは大事ですね。
まくらが浮かばないと筆が進まないのですが、今日は浮かばないなりに書かねばならぬという決意でChrisKingの近年の大ヒット作のR45 HUBを中心にTipsをやってみようと思います。また前回のロックリングに対する反響の凄さが身にしみたので最低週一でやっていかねばとも。。。

まずキングハブ全般に対する基礎知識として1ページ目に「ロックリングの使用について」と同軸上でしっかりと書いてあることがあります。それは 「チタン製のスキュワーを可能な限り使用するな。」 ということです。知っている人にとってはチタンとアルミの素材性質上の相性の悪さを考えてのことだと容易に想像してしまいますが、ポイントはそこではなくホイール着脱の最重要項目であるトルク管理がしっかりと出来ない可能性があるということです。なのでご使用中の皆様にはできるかぎりスチール製のスキュワーをご使用してくださいますようお願いいたします。

R45のハブが製造され、実際に使用してみて一番特徴的に思ったこと、それがリアのメンテナンス性能の圧倒的な向上です。フロントは従来のClassicやISO HUBと同じようにキングハブ専用のアジャストメントツールを使用しての分解となりますが、
ChrisKing HubCone Adjusting Tool¥3,700_(without Tax)
R45のリアはアーレンキーのセットがあれば最低限のバラシ、洗浄、注油がだれでもできるレベルになりました。(もちろんそれ以上を求めるときは専用の分解ツールが必要になりますので、お近くのChrisKing販売店までご相談ください。これはツールとしてもとても美しく、使い勝手の良いものなので、使用頻度によっては個人レベルで所有して頂いても良いと思います。)
ChrisKing Hub Service Kit for R45 & Standard¥23,000_(without Tax)
これはもちろんシンプルで壊れにくい構造のフロントに対し、リアの内部に使用されているキングの特徴的で代名詞とも言えるRing Drive System対する重点的なメンテナンスをして欲しいということの現れであることがわかります。専用のHubToolを使用して全バラしてみますと、いかシンプルで大多数の他社が採用するPawl-Type(歯爪式)のものとは全く考え方が違う内部機能と性質を持っているのがわかるのですが、(これもまた後日お話します。)その性能維持のために決して避けては通れないことはやはりそれが 「洗浄と注油」 であり、これに関してはマニュアルの4ページ目に丁寧に書いてありますので少しご紹介します。
 

-通常状況使用時-
リングドライブのアセンブリーとドライブシェル内部にはChrisKingがリングドライブ用にデザインをしたRing Drive Lube、もしくは高品質な10wシンセティックオイル(Mobil 1 10w-30wなどの100%シンセティックオイルのもの。)の使用をおススメしています。他社のグリースはけっして使用されないようおねがいします。リングドライブ内部の精密部品には粘度が高すぎることが予想され、ハブの故障や消耗が早まる可能性があります。またどの部品に対してもネジ止め剤の使用は絶対にしないでください。

ChrisKing RingDrive Lube / 36ml
¥1200_(without Tax) 

-気温が低い状態の場合-
氷点下での使用に際しては必ず使用前にハブシェルの中に水分や湿気を除去してください。高品質な10w シンセティックオイルは例え極寒な状況であってもどんな天候でも対応することができます。ただけっして大量に入れすぎないことが重要です。
-ウェットなコンディションな場合-
ウェットな状態でのライドの後はより丁寧なメンテナンスをする必要があります。ハブからアクスルとドライブシェルを取り出し、ハブシェルの中の湿気を全て取り除いて下さい。特にウェットコンディションにおいての使用が多くなればなるほどこまめな完全分解を前提のメンテナンスが必要不可欠となります。水を完全に入らないようにするのは不可能に近いものがありますが、例え水が入った状態であっても使用は可能です。なぜならば、多少の水が入ってしまった場合でも動くように設計されているからです。ベアリングはステンレススチールで出来ているのでサビには強いです。しかしながら洗浄、注油を怠っているとベアリングの消耗を早め故障原因に繋がります。雨の日のライドやクロスレース等、水の中をライドして(水たまり?沼?)しっかりと汚れてしまった場合は丁寧に洗浄をしてください。これらの状況、状態を注視して必要なメンテナンスをすることが大切です。
(参考までにClassic Hubにおけるルブリケーションの動画を貼っておきます。ちなみに説明はChrisKing本人がしています。)

やはり長い文章になってしまいましたが、要約すると通常のアーレンキーセットを使って誰でも簡単にR45 HUBは分解が可能なので、できるだけこまめなメンテナンスをご使用者の皆様にお願いしたいということです。メンテナンスを定期的に行うということは使用する “者” がその “物” に対する責任と愛情の表現方法とでも言えますし、まぁそう深く考えずとも長期間に渡ってChrisKingのハブが安定した性能を発揮し続ける唯一の方法だということです。またご自身で行うことが不安な方も確かにいらっしゃると思いますので、その際はぜひ信頼の置けるバイクメカニックがおりますSimWorks販売店までお気軽にお尋ねください。

良い物を長く丁寧に使いきっていくということはChrisKing Precision Componentsや僕らSimWorksの根底的な哲学の大事な部分でもありますのでぜひご理解いただければ幸いです。

次回はホイール組の時に対する注意点や玉当たり調整、互換性等々の項目を行います。