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2022/1/25

Nightmares on the ano.

ラストバッチ、最後となる Stealth カラーシリーズの製品が順に入荷してきています。素晴らしい仕上がりですが、それぞれに色ブレが少しずつあるのでここに予めお伝えしておこうと思います。厳密にカラーマッチングさせようとすると難しいのですが、アッセンブルの参考にしてみてください。


アルミ材料の表面処理として、アノダイジング/陽極酸化皮膜処理は非常に優秀で、その耐食性、耐摩耗性の向上からこれを施されていない製品の方が珍しいと感じさえします。そして、その処理に染料による着色工程を挟んだのがカラーアノダイズであり、あなたもそんな自転車パーツを愛好するお一人なのかもしれません。

カラーアルマイトの弱点は、このポストがテーマにしている色ブレです。まずロットごとに発生してしまうブレが悩ましいものです。染料の濃度や薬液の温度、撹拌の具合、そして時間。やり直しの効かない処理であることからも、その色味の再現は至難の技です。
更に、同ロットで全く同じ染色工程を経ても、染色されるパーツの材質や表面の状態の違いでも濃淡に影響が出ます。自転車に用いられているアルミ材料の実際は合金(ジュラルミン)で、2000系から7000系などの規格名称を持ち、それぞれの特性を活かして使い分けられています。となると当然、表面の性質もそれぞれに異なりますから、これに伴って厳密な色合わせが難しくなってくるという訳です。また、同じ材料でも鏡面状に研磨され平滑な表面である場合や、ブラスト処理で細かな凹凸のある表面とでは当然表情に違いが表れ、濃淡の感じ方にも差が出てきます。

斯くして、自転車のパーツはシルバーとブラックのものが大半を締めています。トラブルやリスクを極力抑えようと設計を進めるとどうしてもそうなってしまうは仕方のないことかもしれません。でもそんなモノクロばかりではやっぱりどうもつまらない。世界がそうであるように、自転車も様々に個性的なのが間違いなく楽しいはずです。SimWorks の製品を企画する時には、よくそんなことを想います。

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