新型ワイルドハニーは、より広く、より遠くへ
人類は直立二足歩行する事により様々な能力を得ましたが、自転車の乗車姿勢は前腕でも体重を支持する四足歩行の体勢に戻っている!?つまり速さという根源的な価値のために、無理な体勢を強いている…
SimWorksのランドナーバー”Wild Honey / ワイルドハニー”がアップデートしてカムバックしたお知らせを書こうとしていたら、二足歩行のWikipediaに脱線してました。話を戻しましょう。
そう、長いツーリングを快適に走るためのランドナーバーとしてSimWorks初期の頃からのレギュラーラインナップだったワイルドハニーが、このたび細部の、しかしかなり重要なアップデートを伴って帰ってきたのです。
Wild Honey Bar / ワイルドハニーバー
Width: 490, 510, 530mm
Center diam. : 31.8mm
Material : Heat Treated Aluminum
正面から見るとハの字型になっていて、下ハンを持つと幅広で安定したハンドリングが可能になり、少し狭くなっているブラケットを持つと上体が起きて楽な姿勢を取ることができるのが古くからあるランドナーバーのスタイル。
最近では同じような幅が狭くフレアの大きいハンドルが空力的に有利だとしてロードレースで使用されている例もあり、温故知新というより、エアロが取り沙汰されるバイクが増えた今こそこのハンドルの真価が発揮される時だと思います。
新しく加わった 510mm / 530mm 幅
レースシーンでは幅の極端に狭いランドナーバー似のものが使われているようですが、レースのような特殊な環境ではなく普段のライドやツーリングには広めのハンドルがベスト。旧モデルより幅の広い、510mm と 530mm が新しくラインナップに加わりました。とはいえ、これはバーエンド部分の幅なので、幅が狭くなっているトップ部分のブラケットを握り、脇を締めて向かい風に耐えながら長いストレートを走り抜けるという、ツーリングに良くある場面にもしっかりランドナーバーとしての性能を発揮できるでしょう。
また、大きめのフロントバッグもグリップの邪魔をする事なく装備できるようになります。
デジタルガジェットのために広くなったセンター幅
さらに今回のアップデートでは、クランプ径 31.8mm のセンター部分の幅が広くなりました。これまで同じシムワークスのステムと組み合わせると、幅が不足してライトやガーミンマウントを中心付近に取り付けられない事がありました。ハンドル周りに様々な電子ガジェットを取付ける現代の乗り方に合わせて素材パイプから刷新する事で幅広クランプを実現しています。
優雅に 7mm ライズするバートップ
もうひとつワイルドハニーの特徴として、上ハン部分が 7mm ほどライズしていて、鳥が羽を開いたような、キグナス氷河のダイヤモンドダストの予備動作のような形状になっています。
このライズ部分はただ美しい形状というだけでなく、上体が起きて楽な姿勢が取れるほか、レバーのブラケットが握りやすい角度になり、104mm という長めのリーチにも関わらず快適なハンドルグリップが実現します。
人間の身長は朝晩で 1cm ほど変化する事を考えると、7mm のライズは誤差の範囲に、、、とはならない事を、バイクのポジションをしっかり出している方ならわかるはずです。
ここで冒頭の直立二足歩行の話が出てくるわけです。ヒトはS字に湾曲した背骨の直上に重い頭部を載せてバランスを取り、直立姿勢が最も負担の少ない楽な姿勢になるようにできています。そして自転車の乗車姿勢のように頭部を前に出すと、それを支える筋力が必要になります。頭部の重さを平均的な 5kg と仮定すると、首の骨が30度傾くと 12.5kg の重さを保持する筋力が必要になります。車体の重量と同じぐらいの重さを首で支えているわけですね。
つまり重要なのは首の角度であり、手の位置の違いで数度でも角度が変われば、その負担は大きく増減するので、ハンドルのライズ量もしっかり効いてくるのです。
同時に上体を起こすと上下の視野も広がります。人間の上下の有効視野角は20度ほどしかありません。これも上体の角度で視野の割合も大きく変わってきます。
以前にミャンマーのバガンへライドした時に旧ワイルドハニーを使用しました。前を向きやすいこのハンドルだったからこそ見えた世界があったはず。より遠くへ、より広い視野を持って、ライドを楽しむためのハンドルをぜひ。
Wild Honey Bar / ワイルドハニーバー
Width: 490, 510, 530mm
Center diam. : 31.8mm
Material : Heat Treated Aluminum