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2022/3/17

私はバランス型。あなたは?

SimWorks by Panaracer の Volummy Tire シリーズが帰ってきた。界王星で怪力を身に着けたというよりは、妙木山で調和を学んできたといった具合だ。とにかくおかえり、と言ってやりたい。

元々 Volummy は耐久性に振ったタイヤであった。ガムウォール構造と呼ばれる分厚いサイドゴムがタイヤの側面を保護する作りで、実用車向けに多い構造であり、スポーツバイクの軽快なイメージとは対称の、実に Heavy Duty な現場タイヤだったのである。

開発当初の、どんなタイヤが欲しいか?というリサーチでは、特に米国では「とにかくタフなやつ」という返答が集まったし、それに素直に応える形で誕生した Volummy ではあった。実際サイドが裂けてしまったというレポートなどは皆無のまま 5 年近く販売を続けることができた。そして、これまでの普及を経て導き出された結論は「そこまで強くなくても大丈夫だった」というものであり、この度のアップデートの背景である。

「良い製品なのだからもっと良くしたい」とは常々思うものの、何でも変えれば良いというものでもない。重量と耐久性はトレードオフの関係にあるから、手を加えるにしても極めて慎重を要する。何かを取れば何かを捨てることになるのだ。バランスとはそういう釣り合いのことなのだから。

この度のアップデートでは、SimWorks オリジナルの Penut Butter カラーをそのままに、ガムウォールからオープンサイドへケーシングの基本構造を変更してもらった。分厚いゴムを脱ぎ捨てることで得られる「軽さ」には質量と転がり抵抗の 2 種類がある。質量の低減、つまり軽量化は加速性や制動性といった動的な影響はもちろん、取り回しというライダーのフィーリングにもポジティブに作用する。それが回転体の外周重量であればなおさら影響は大きい。また、ケーシングは「しなやか」になり、変形によるエネルギー損失が低減し、尚且居住性も向上する。

だがしかし、軽快だからといって華奢では困る。SimWorks とその仲間たちが頼りにしてるのがあくまでもタフなタイヤであることには変わりはない。そこでケースはオープン構造でありつつもトッピングゴムは可能な限りぶ厚く設定してもらい、耐パンクレイヤーも追加して必要充分な耐久性能を実現した。妙な言い回しになってしまうが、決して軽いタイヤではないのでご安心を。。。