-Monday Selection-2014夏旅事後録 "後編"
もう気分的には少年時代や夏の終わりにハーモニーが聞きたくなっているに違いないのでしょう。 冷夏とも呼べる今年の夏でも皆さんにとって一度きりの夏にちゃんとなったことでしょう。 一度きりという魅惑の言葉に毎年幻想を描くのは僕だけじゃないことを願いつつ今日も筆を執ってみました。 できるだけ簡潔に終演を迎えることができるように自分を願いつつ先に進みたいと思っていますがどうなることやら。
2014夏旅事後録 “後編”
様々な偶然や必然とは時と場合に応じて当人とは関係のない場所で往々に語られるのでしょう。そしてその答えですらその人が決めるわけではなく、結果周りの民意に委ねられることになるのだろうななんて、そんな社会性質について考えるようになるなんて、やれやれきっと大人になってしまったのかもしれないんだななんてすこしウンザリもするのです。
The Man…
彼の目線の先に何が写っているのかは彼のみぞ知るわけなのですが、たまにそれは偶然?必然?と尋ねたくなることが多々とある。
まぁその男が何を見ているかは今はさておき、まずは美味しいそうな料理から始めるべきだとも思うのです。それこそ食はすべての源であり、様々なヒトモノをつなげていくのも結局は食なのかもしれないと急激に感じ始めたのも、もしかしたらこの男に出会ったからなのかもしれません。そんな必然と偶然が無意識に共有される最高のイベントがまさにクリスキング グルメセンチュリーライドなのかもしれないのです。
腹持ちのいいベーグルにトッピングされるのはもちろんサワークリーム。(サワークリームの文化はもう少し浸透していてもいいかもしれない。)
そしてフレッシュなフルーツがあれば100kは余裕で乗りきれるはず。
個人的にはメキシコには存在しないであろうと推測するブレックファーストタコスというアメリカ人が生み出した食べ物に現状とてもシンパシーを感じている。
粋な女がいれてくれたカプチーノは味がわからなくなるほど美味いに決まっている、はず。
グルメセンチュリーライドとはクリスキングがサンタバーバラ時代の20年前に始めたライドイベントであり、喜ばしいことに個人的には3年連続での参加となりました。簡単にこのイベントを表現するならば Why you ride? 的なみんなが大好きな遊びの本質をずばりシンプルに誰にでも完成できるように表現しているのだと答えるようにしています。
遊び(Playing) とはそもそも何なのか?と思うことは遊び道具を提供する身として多々とあるのですが、やはり参加するすべての人がれっきとしたプレイヤーになれるかどうかが全ての成功の鍵になるように思います。あくまでも与えたい(与えるべき)ものの質を一定に保ち、後は真っ当なプレイヤーたちに委ねる、そんな遊びの本質が分かる人たちが一同に集うと結果以下のようになってしまうのかもしれません。
Why you ride?
Probably this is one of mysterious question for us…
今年はトータルで450名以上のライダーが様々な場所から集まってきた。ちなみに去年の倍以上である。
450名ものライダーがどこまでもリラックスをして食事を目指して走る。言葉にするとある一部の “スーパーシリアス人” にとってまことしやかに滑稽かもしれませんが、でもそこにはちゃんと本気のアスリートもおデブもおちびも、また初めて100kを走るライダーもいて、とてもとても真剣に遊んでいるのです。そして走っているスピードや感覚は違えども、ポイントポイントで提供される本気の食事に舌鼓を打つときはみんな決まって同じ顔になり、自転車の最新部品の話よりももっと興味深い、もっとパーソナルな大事なことすらを話し始めるのです。多分それらはクリスキングのみならず関わる全ての人がこのイベントに求めている本質であり、それは自転車の乗り方、作り方、売り方を知っていることと同等以上に食べ物や人との出会いが幸せをもたらす力の源であると考えている人たちが本気で組み立てた結果なのだとようやく思えるようにもなったのです。
昼食はOrimpic Provisionsのパストラミサンド。
アメリカ人のチーズ好きにはほとほと参るので半分にしてもらったら劇的に感動しました。
6回目にしてようやくすべてのキング関係者がみんなと一緒に走れるようになったのはとても喜ばしい。
彼の住む家には広大な農園があります。自分で田畑を耕し、豚や鶏を育て、たまにフレームに火を入れ、ピアノを弾き、ワインと日本食をこよなく愛する彼が次に何を見ているのかはわかりませんが、とても豊かな人生をおくっているのは85kを走りきった時に証明されます。
ショートリブもすごかったのだがコーンソースが特に絶品でした。
ここまで来て、これらを見せてもう言葉にするのは野暮なのはわかっていますが一言だけ、トップの写真のシェフは僕のヒーロです。総勢500名分のコースをタイミングがそれぞれ違う中、切り盛りするさまはそれはもう圧巻です。まるで戦場なのですがやり切る使命と達成感を知っている人たちってなんともたくましく男ながらに憧れます。
サンタバーバラから始まった彼の思いはカリフォルニアを駆け抜けポートランドにしっかり根付いたのでしょうか。僕にはまだまだ彼についてわからないことが多くありますが、ひとつ憶測できることとは今までオープンにしていなかった彼の工場や工房までもをしっかりと紹介しきれるようになった彼の変化の源とは、きっと彼や彼が信じた物事を理解した人たちが作り上げたそのコミュニティーの大きさが身にしみたのがきっかけなのかもしれませんし、その大きさとはまさにこのグルメセンチュリーのキャパシティーで証明されているのだとも今この文章を書きながらにして思うわけなのです。
誰もが一人遊びから始めるのです。その次に仲間を見つけその数の変化はあれども30年の月日の中で変わらずに続ける事ができる喜びはきっと僕らにも分かる日が来ることを信じて先人の目線を見続けたいものです。そんな実感をしっかりと体感できたのは僕らもまた成長しているからなんだと根拠の無い自信を胸に今年も一度きりの夏遊びが終わるのでした。
来年は日本でやれたらいいなの言葉がしっかりと刺さっていることだけはココに刻んでおいて今回の長話を終わりにします。
みんな最後までお付き合いありがとうございました!
Text : Shinya Tanaka
Photo : Rie Sawada