2020/10/21
ライダーの安全の為に:タイヤの暴発を防ごう

近年ポピュラーなってきたチューブレスレディ、チューブレスコンバーチブルのタイヤですが、普及に従って「チューブレスタイヤの暴発問題」というものが私達を悩ませるようになりました。

チューブレスタイヤの暴発は、リムがタイヤを保持する限界を超えた際、大きな破裂音とともにタイヤがリムから外れてしまう現象を言います。ポンプなどで空気を入れている最中に発生することもあれば、乗車中に起こることもあり、後者の場合は転倒などの深刻な事故につながる恐れもある危険な現象です。

私達シムワークスは、パナレーサー社と共同開発したチューブレスコンパーチブルのタイヤを販売しておりますから、この問題についての問い合わせ、クレームがお客様より寄せられることがあります。そしてメーカーであるパナレーサー社にもやはり同じ様な問題が多く持ちかけられると聞いています。また、他社のタイヤメーカーのブログ等にも、チューブレスの利点とともに問題点や注意点を喚起する記事が見受けられたりと、業界内、特にタイヤの販売に携わる人にとって実に悩ましい問題となっています。そしてこの自転車のチューブレス仕様が抱えている問題は、とても根が深いということも徐々にわかってきました。

このチューブレスタイヤの暴発にまつわる根本的な問題とはいわゆる「相性」の側面がとても大きく、まず暴発が起こったときにほとんどの人がタイヤが悪いと決めつけてしまうのですが、一概にタイヤが悪いと決めつけてしまうのは決して賢明な判断ではないと念頭においてください。

相性が問題ですから、タイヤが悪いのでもリムが悪いのでもなく、それらの組み合わせが悪いのです。リムとタイヤのどちらもがチューブレスの対応を謳っていてもこのトラブルは起きています。
そしてこの根本をたどると、原因は自転車産業が自身の力でそのチューブレスタイヤの標準規格を定義しきれていないことにあることが見えてきました。ですから、まず現状においてユーザーがなすべき最初の対策とは「理解すること」にあると考えています。

標準規格が定義されていない点について詳述します。
自転車のタイヤやリムの構造や形状について、大きく分けて2つの標準が存在します。ISO(国際標準化機構)とETRTO(ヨーロッパ タイヤ リム技術機構)が定めている規格です。
自転車の部品はこうした規格に基づいて設計/製造されていますから、異なるメーカーの部品同士を組み合わせた場合であっても問題なく使えるようになっています。その為の世界標準ですね。
しかし、ことチューブレスタイヤについては、長い間この標準規格が存在しませんでした。(ETRTOは今年に入りチューブレスリムの標準規格を策定し、ネクストタームに入った、つまりはISOに次のボールが渡されたという状態にようやくなったということなのですが…。)

しかしながら長らく標準規格化されていないということで、どういうことが起きているかといいますと、タイヤもリムも各社が独自に開発設計し、独自の試験をして、それらの製品がチューブレス対応商品であると謳っているということです。ユーザーからしてみれば、リムとタイヤのどちらもがチューブレス可とあれば、組み合わせて使えるように思うもの無理はありません。これが暴発事故の原因と、私達は考えています。そしてこの現況を理解すること、ユーザーが学び、自らが賢くなる他に対策がないと思うのです。

シムワークスがタイヤの製造をお願いしているパナレーサーは、ISOのチューブタイヤ用の基準に基づいてタイヤを製造しており、同じくISOの基準を満たす構造のリムとの組み合わせに於いては、これをチューブレス仕様として使用できる(=チューブレスコンバーチブル)としています。 上述の通りISOにはチューブレスタイヤ用の基準が未だに存在しないため、チューブを使用した自転車用タイヤ(チューブド)の基準に沿って製造している、というのが現状です。

参考までに、下記がパナレーサー製のシムワークスタイヤと推奨リムの組み合わせについての表です。

タイヤが暴発した、外れてしまった等の連絡をもらうと私達はどんなリムを使用していたかを必ず確認します。そして、そのほとんどすべてが上記の構造をしていない、つまりISO規格から外れた構造のリムを使用したケースばかりなのです。
実際、特にチューブレス仕様を謳ったリムにはISO規格外の構造のものが多く流通しています。そして、それはユーザーだけでなくバイクショップですら把握していないことがほとんどなこともわかってきました。

チューブレス対応のリムは、ビードフックが無い(フックレス)もしくは小さいなど独特な構造をしていることがありますが、サイドウォール(上図のG高)が低いリムは特に注意が必要です。私達に寄せられた暴発事案で使用されていたリムは皆サイドウォールの低いものばかりでした。
メーカーはチューブレスの、特に低圧での乗車時のリム打ちリスク低減のためにサイドウォールを低く設計することがあり、確かにメリットもありますが、タイヤの選択によってはメーカーが定めた最高空気圧に達する前に暴発してタイヤが外れてしまったり、走行中に外れてしまうという事案が起きています。

そしてチューブレスでの運用をしてみたいなと思い初めたユーザーは、図の基準値を意識していただきながら適切なリムの選択をしてください。 そしてこれから何度もいいますが、決してタイヤ側面に記載されている最大気圧以上のエアーを注入しないように努めてください。(非常に大切なので必ず覚えておいてください、またタイヤによってはタイヤサイドに書かれた適正圧がチューブ使用時のものも数多くあります。)

また現在製造されているチューブレス対応リムはISO標準規格に適合させて製造されていないもの多く、その代表としては近年急激に増えてきているフックレスリムとも言えます。 しかしながらISO適合はしていないフックレスリムと言えども、大きな利点があり、その多くはカーボン製であるということ、つまり、かなり正確な基準数値内でリムの製造が可能になっているということであり、より正しい数値を持って製造されるチューブレスリムに、正しい数値に基づいたチューブレス対応タイヤを合わせることによって、より安全にチューブレスタイヤの運用が可能になるのです。

このような案件を積み重ねて書き示してみると、非常に大切な安全標準基準値を世界的に規格化できていないということ自体がこの自転車産業の完全なるミステイクだとやはり思ってしまうのですが、その問題ばかりを強調し加速させることほどとてもネガティブな思考になってしまうので、まずは正しくチューブレスタイヤというもの自体と扱い方をしっかりと理解し、みんなで情報を共有しあっていくことが一番安心してチューブレスタイヤを使用するための近道なのかもしれません。 もしくはチューブドでの運用は古典的ではありますが、一番安心してどのようなタイヤでも確実に運用できる方法かもしれません。(何れにせよフックレスやリムハイト基準値から大きく外れているものは多く存在していることに変わりはありませんので、経験を積んだメカニックやサイクリストはタイヤをはめ込むときにその感覚でチューブレスでの運用が可能なのかの判断ができることも多く見受けられています。)

ユーザー、バイクショップが適切な知識を身につける以外にこうしたタイヤの暴発などのトラブル、またはそれに起因する事故を防ぐ手立ては現在ありません。 ですので、再度皆さんにしっかりと理解しておいてほしいことを下記に示しておきますのでチューブレスタイヤの運用をお考えの皆様はしっかりと覚えていただき安全を自己担保していきましょう。

1)シムワークスのタイヤを製造していただいているパナレーサーはISOの基準値に基づいてタイヤを設計、製造していること
(タイヤの暴発は常にタイヤのせいになりがちですが実際はそうではないということ。)

2)パナレーサーの推奨する寸法から外れた設計のリムが数多くあること
(趣味の世界なのでレース機材、自己責任という言葉が安易に存在してしまっているということ。)

3)組み合わせによってはタイヤが外れる可能性があり、それは危険なこと
(正しくものと扱いを知り、知らなければ知識のある人に正解を納得するまで尋ねること。)

4)適正空気圧を正しく知り、決して最大空気圧以上の空気を注入しないこと
(適正の空気圧は必ずタイヤサイドに記載されているのでしっかりと確認する、また正しい数字がわからない場合は必ず製造メーカーに尋ねること。)

5)タイヤ暴発の危険から自身を守るためにはやはり適切な知識が必要なこと
(なるべく私たちの知りうる知識はメディアを通してしっかりと共有していきます。)

繰り返すことになりますが、現状のチューブレスレディならびにコンバチブルというのは、ハードコアユーザーが知恵と工夫を繰り返し、なんとか実用できるところにまでやってきてはいるのですが、そこに業界が定める安全標準基準値の設定はされていません。 よってチューブレスでの運用は自己責任での使用という側面が残ってしまうわけですが、その恩恵は多く、オフローダーならばやはりチューブレスでの運用を魅力的と思ってしまうはずです。 よってシムワークスのチューブレスコンバーチブルタイヤをチューブレスにて運用をお考えの皆様は上記の図表を参照に正しいリムの選択ならびに、適正空気圧をしっかりと守ってご使用ください。

シムワークスからのお願いでした。

SimWorks by Panaracerについてのお問い合わせはこちらからお願いいたします。

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