NEWS
2013/2/1

COPPI – Inside the legend of the CAMPIONISSIMO –

今日はCoppiの話をこの国から始めていきたいと思います。

 

毎年UCIアフリカツアー、ツール・ド・ファソが開催されている西アフリカの国ブルキナファソの自転車文化にとって1959年のFausto Coppi(ファウスト・コッピ)、Jacques Anquetil(ジャック・アンクティル)らの来訪はなにか大きな起点になったのでしょうか。

 

何年か前、BFF(Bicycle Film Festival) でツール・ド・ファソに参加する日本チームのドキュメンタリーを見たことがありますが、コッピのイメージがいくつか出てきた記憶があります。一つ前のプログラムがコッピのひどくサイケデリックな映像だったのでもしかすると記憶がごっちゃになっているのかもしれません。

-Les Ninjas du Japon-

http://vimeo.com/1964738

 

このドキュメンタリーにはある人物の名前がキーワードとして執拗に、繰り返し出てきます。結局日本チームは誰もこの名前の主を知らなかったのですが、確か第5代大統領、アフリカのゲバラと呼ばれたトーマス・サンカラ(Thomas Sankara)の名前だったかとおもいます。

そこに何の関係があるのかと考えてみると、彼が大統領の時に始まったのがツール・ド・ファソ、さらに彼は自転車が趣味で仕事にも自転車で行っていたというBike to workの先駆けのような人で、もしかしたら子供の時に当時の大統領の招きによって来訪したコッピの姿(そしてコッピはこの来訪中のマラリアが原因で命を落とします)を見ていたのかもしれません。

 

このように人と人、時間と時間がつながるのが歴史の面白さですが、それもコッピについて深く知ろうとしなければ、先の日本チームと同じように、自分にとってまったくつながらなかった人や時間たちです。

 

もしかしたらそれはこの本の著者、Herbie Sykesも同じだったかもしれません。

彼が自分の著書、Maglia Rosaの執筆の為に過去の膨大なGiro de Italiaの写真をRouleur MagazineのGuy Andrewsととも見ているうちに、そこに多く存在するコッピの写真がとてつもない力強さを持っていることに気付きます。彼、Fausto Coppiはどのレースのどのような集団にいても見紛うことなくCOPPIであり、そして紛れもなくクール。ライディングフォーム、身にまとうもの、表情、一たび彼を知れば見間違うことなく、人は彼の姿を見つけることが出来ます。

そうして始まったこのプロジェクトの為、Herbie SykesはCOPPIと同じ時代を走ったレーサーたちをイタリアに訪ね、その言葉を記述し、同じ時代のフォトジャーナリストVino Liveraniのアーカイブからの写真をメインに、イタリアのOlycomやフランスのOffside/L’Equipeといったフォトエージェンシーからツール・ド・フランス、パリ・ルーべなどの、これまで表に出てこなかった写真を集め、そして出来上がったのが、この、ハードカバーに覆われた、40歳という若さでこの世を去った、”伝説のカンピオニッシモ、その姿”です。

2度のダブルツールやアワーレコードなど、多くの記録を残したレースの写真はもちろんのこと、練習中やチームメイトとの写真、サインにこたえるスターとしての姿、趣味である狩猟や妻であるBrunaとの素晴らしいツーショット、そして後年不調のきっかけになったとも言われる愛人Guiliaとのどこか影のある光景、マラリアに冒されることとなるブルキナファソでのレース、5万人が参列した彼の葬儀まで、168枚の写真、21人の同じ時代を走ったレーサーの言葉や彼自身の言葉でCOPPIという伝説のレーサーの光と影、栄光から死までを見事に描いています。

フォトグラファーへのアピール力が高いというのはレーサーとしての才能でしょう。

しかしこの本の中のCoppiはどこかさみしげで、ときにおびえたような表情も見せています。

一人坂を登るその背中や、一人だけ前に抜け出て走るその表情にもある種のクールネス、距離感といったものが感じられます。

多くの人にとってCOPPIはライバルのGino Bartaliとの死闘や、数々の記録を残した伝説のレーサー、そして現在その名前を冠した自転車ブランドがある、そんな名前でしょう。

しかしこの本、COPPIは自転車レースの歴史の中でIl Campionissimo(王者の中の王者)と呼ばれたFausto Coppiという男の、これまで伝説というベールに隠されてきた素顔を明らかにするものであり、当の自転車レースの歴史には決して収まりきらないRouleurらしい独自の切り口の伝記写真集です。

 

・著者:Herbie Sykes
・ハードカバー:320 ページ
・サイズ:22.6 x 22.2 x 3.4 cm
・出版:2012 年8 月11 日( 初版)
・price:6090yen(incl. tax)

※またRouleur #35 号でこの本の製作の模様を紹介しています。

 

Sim WorksではRouleurやUrban Veloなどのバイクカルチャーマガジン、またRouleur社が送りだすCOPPI、Maglia Rosaなどの写真集や本を取り扱っております。

現在、これらの書籍を取り扱いいただけるショップや企業様を、業態を問わず広く求めております。

詳しくは本サイト右下のコンタクトよりご連絡ください。

 

 

 

Keywords