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2021/10/15

Brass: Excellent than expected

SimWorks by Nissen のアウターキャップ、インナーキャップは真鍮製である。一般的にはこれらのような「真鍮小物」と呼ばれるパーツはクロムメッキを施すが、敢えて表面処理の無い、無垢で仕上げられている。

中でもアウターキャップの面白い特徴は、NC 旋盤で仕上げられている点である。地味なパーツではあるが、ブレーキやシフトのフィーリングやセッティングは繊細なものであり、目には見えなくともこうした高い加工精度がものをいう。理想的なバイクアッセンブルを実現するアイテムとして人気も高い。

真鍮 (Brass) とは、銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金のことであり、黄銅とも呼ばれている。

身近なものだと楽器やアクセサリーそして仏具などで使われているこの素材。貨幣であれば5円玉がそうだ。
SimWorks 製品にもフェンダーやベル、最近ではニップルなどに採用されているポピュラーな素材だ。

ここ日本における真鍮の歴史は謎に包まれている部分も多く、国内で真鍮製造が始まったのは江戸時代中期頃と比較的最近とされる。対し、ヨーロッパやアジアの各地で原始的な真鍮製造の痕跡は数千年前から見受けられるようだ。

時は過ぎ、人類が宇宙に進出する現代に至っても、我々のような自転車人にとって信頼できるニップルが真鍮製であったり、鉄フレームの製作過程においては真鍮蝋が普遍的であったりと、自転車を取り巻く世界では今なお真鍮が有用な素材であるということは間違いない。

比重で言えばスチールやステンレスよりやや高く、重たい材料ではある。他に欠点をあげるとすれば、空気中では徐々に表面が酸化銅皮膜に覆われ、 黒く変色してしまうことであるが、これはむしろ魅力と捉えるべきだろう。錆びるとは言うものの、鉄のそれのように激しく侵食するものではないし、磨けば簡単に元の輝きを取り戻すこともできる。

チタンやカーボン FRP などのハイスペック材料は、強度や重量といった点に特筆すべき性質が備わってはいるが、加工性が悪かったりコストが甚大であったりと何かしらのトレードオフがある。加工性が良く、精密な加工を施しやすい真鍮だからこそ実現する部品も多々ある。世界というものは適材適所でうまく廻っている。

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