FEATURE
2015/6/5
“FlyingHill” Landings for the next Flight

Film by Ryota Kemmochi/Photo by Yoshiro Yamada/Text by Monjya

 

少し個人的な話から始めたいと思います。

今回のRidin’Birds “FlyingHill”を思い立ったのは、僕の所属するバスケチームのキャプテンが、(東京のブラック企業を突然辞めて)伊豆に移住し、今回の宿泊地だったREN VILLAGEで働き始めた事がきっかけでした。
最初はなぜキャンプするのにお金を払う必要があるのか釈然としなかったけど、彼の決断には強い尊敬と憧憬の念があったので、ベストシーズンを押さえてもらいそのキャンプ場に自転車で向かったのでした。

東京→RENは約200km。

午前中に家を出て、箱根の峠を越え三島を左折、修善寺を過ぎて西天城高原に登ります。 西伊豆の海岸線に降りてからも続くアップダウンにヘトヘトになりながらもラストスパートすると、ちょうど今回のRidin Birdsでも見る事ができた強烈なサンセットを目撃する事になります。
そしてその後キャンプ場に渡り待望のディナーという一連の流れは、今回参加してもらった方々にはそれがどれだけ最高なのかが良く分かったと思います。

こうしてその200kmをたびたび通うようになり、必然的にその先の伊豆南端までも走り回るようになっていったのです。

3回ほど伊豆を走ったあたりから、ここでライドツアーを開催したいと考えるようになりました。 最適なルートを調べるために、車で走ったり、地図やネットで調べたりしましたが、ある程度固まってくるとあとはひたすら実走です。 下田9連泊を含む、延べ20日程度は走っていたと思います。

メッセンジャーで都心を走っていた時によくやっていた方法と同じで、ルート上にある横道はとりあえず全部入ってみるスタイル。この辺りは入り口がたとえ極上のグラベルになっていても、ほとんどが別荘の入口に突き当たって終わってしまうのがとても辛いのですが。。。

そして想定する参加者のレベルに合わせた距離や標高、スタート – ランチ – 風呂 – 日没 – ゴールを考慮したタイムスケジュール、同じような風景が続かない眺望のバリエーション、つらい峠の後には美味しいスポットが来るような名所と難所をつなぐシークエンスと色々なバランスをとりながらコースを設定します。

悩みに悩んだ結果、最終的にコースが決定したのは開催一週間前でした。

並行して、イベントの名前や日程、場所などの開催概要を固めていきます。
EarlyBirdsとの飲食の打ち合わせ、温泉の手配、関東、中部からのツアーの調整、スタッフの役割分担、タイムスケジュール、エントリーサイトの作成、保険の加入、ライドMAPの作成。 そしてやはり遅くなってしまった告知。

脳内で何度もシュミュレーションして、色々と準備はするもののやはり想定外の事は多数発生します。 そもそも本来去年に開催予定だった第1回は暴風雨の為に中止になってしまったのですし、今回は女性の参加者が多かった事も予想外でこちらとしてはとっても嬉しい誤算でした。 当日のオペレーションなどは、BangKing等の数々のイベントで鍛えられたCirclesスタッフにも大いに助けてもらいました。

普段は1人で気ままに走っている事が多いので、ここでライドツアーをやりたい!というのはこれまでと全く違ったスイッチの入り方でした。 もちろん仕事として依頼された訳でも、生まれ育った地元への愛情という訳でもありません。 何がそうさせたのか明確な理由は無いのですが、伊豆がハワイの方から流れてきた火山島の温泉郷だった事や、多くの文芸作品に登場して桃源郷として描かれている事から考えると、この伊豆という場所が持つホスピタリティの高さとも多少は関係があるのかもしれないと後になって思うのです。

人を招待して案内するというのは、走る事への満足だけでなく、食事や宿泊、アクセス、費用、アトラクション、広告、地元関係者との折衝など、様々なアイデアと工夫が必要です。
つまりライドツアーは自転車遊びの総合力が試されます。これは新しくて面白い挑戦でした。

そしてライドイベントで特に重要な”ピース”はやはり参加してくれるライダー達です。
あれこれ準備して開催するのですが、最終的に良いイベントになるかどうかは、参加者たちの遊び楽しむ能力に委ねるところが大きく、特に今回はそれが素晴らしかったの一言につきると思います。

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今回のRidin’Birds Flying Hillは集合場所も費用もかなりハードルの高い設定でしたが、ここまで大規模でなくても良いので、いつも走っている場所の紹介や、自転車を買った人の初ライドのコース、美味しいごはん屋を巡るといった、誰かを案内するという前提でスタートからゴールまで計画を組んで名前をつけるライドツアーをやってみて下さい。そうすると招待側、参加側の両方の世界が一気に広がります。
Ridin’BirdsにはPasshuntingという言葉が付いていますが、それは広義の意味で新しい世界を目指す冒険なのです。
そしてそんな冒険者が増える事が私達の喜びでもあるのです。

そして最後にSimWorkerである剣持涼太がこの2日間の流れをトップに表示してあるGood Filmにまとめてくれ、また大量の機材をよっこらと担いで来てくれたカメラマン山田さんもたくさんの素晴らしい写真を残してくれたので、この伊豆という最高の遊び場をふたたび思い出しながら文章とともに今回は一緒にアップさせていただきました。
 
また当日のレポートはりえぼう(DAY1, DAY2)や Circles(DAY1, DAY2)、 チャリ研ダーティ、 above bike store須崎さんのエントリー、みんなのinstagramの#ridinbirdsタグからもしっかりと伝わると思うのでこちらも是非チェックして見て下さい。

本当に参加してくれた皆様、ならびに協力してくれた仲間たちに心より感謝したいと思います。

Hope See you guys all next year!

Have a wonderful adventure with your bike!

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