FEATURE
2015/6/5
世紀食通 <食> / GOURMET CENTURY RIDE ASUKE

Photo by SimWorks / Text by SimWorks
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たくさんのヒトに喜んでもらい、その空間で楽しんでもらうことが自分のやるべき仕事だとおもっています。
 
たくさんのヒトで賑わう空間が大好きで、いつかそんな場所を自分で創ることができたらいいなと強く思うようになっていました。

 

グルメセンチュリーライド シェフという仕事に就く者にとって理想的な食卓を、朝、昼、夜とすべてまかない、僕が大好きな自転車というアイコンを通じて集まった人達に喜んでもらえるなんて、やりたくない理由がそこには一つもなかったし、やりたい理由は山ほどあった。 しかもそれがCHRIS KINGという圧倒的なクオリティーを求める会社が主催するものであるなら尚更、そしてその場を共に創るのがアメリカ料理界きっての一流シェフである「クリス・デミーノ」ときたものだから僕はもう舞い上がるしかなかったのです。

 

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アメリカで開催されているイベントを日本でやるならどうやって表現しようか?
僕らが住む愛知で開催するならばどこの土地がいいのか?
食材はどうしようか?
他のポイントでのシェフはだれに頼もうか?
ルートはどうしようか?
どんな場所がいいのか?
キッチンは?
どんなサプライズが用意できるのか?
地域の方々と一緒に何ができるのか??

 

そんなことを考え続けた中で、僕たちの本気な遊びを当日はたくさん散りばめようと決めたのでした。
 

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イベントの本格的な準備は2月初旬から。
2014年にポートランドでのグルメセンチュリーに参加した経験を活かし、デミーノとの連絡を毎週のように取り合い、僕らのイメージと彼のイメージとを丁寧に擦り合わせながら話を進めていくことにしました。

 

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決めて行かなければならないことを一つ一つ大事に、
すべてはそこに集う人達すべての喜びに変わるようにと想像しながら。

 

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そして迎えた当日。
朝4時。
朝食の準備を開始。

 

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数人の人間で盛りつけをし、エレベーターで運んでいく。
それをテーブルにバランスよく並べる。
6時にはすでに参加者が続々とエントリーを開始。
今か今かと朝食のスタートを待つ。
なかなか降り止まなかった雨も次第に止んで行き、
朝7時 朝食が始まった。

 

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朝食はシンプルなビュッフェスタイル。 焼きたてのパン、ボイルしたソーセージ、新鮮な野菜を使ったサラダ、オムレツ、グラノーラ、ヨーグルト、フルーツ。 ごくごくシンプルに丁寧に。 ポートランドのスタンプタウンコーヒーから前日に直接届いたスーパーフレッシュな豆を使いコーヒーをサーブ。 全面的に信頼の置ける地元名古屋のコーヒーショップ maison YWE のバリスタたちに豆の挽き方、抽出時間など綿密に調整してもらい、豆のもつ力を最大限に引き出してもらい感じたのは、やはり大事な朝だからこそとっておきのコーヒーというものは必要不可欠だということ。

 

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好きなものを好きなだけ皿に盛りつけ、気の合う仲間と賑やかな朝ご飯。
「美味しくて食べ過ぎた」という参加者の嬉しい声が聞こえ、ぼくらのPEAK1は無事通過できたと思った。

 

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食事を済ませ続々と参加者はライドスタート。僕たちスタッフもしっかりと朝食を頂き、次へのステップのエネルギーを蓄えた。 やはりたくさんの仲間との賑やかな朝食は最高です。 デミーノに「Good job」と笑顔で言われ、ホッとしたというのが素直な気持ちだったし、僕自身 EARLYBIRDS という朝食のお店を任せられている者としては責任重大な任務が少し達成した瞬間でした。 また特に意識を集中していたことは、シンプルながらも、誰もが喜んでもらえるであろう良質な「バランス感」、自分たちのレベルを決して下げることなく、自分が絶対的に納得できる答えをだすということ、そしてとにかく「朝食」は大事だという考えを忠実に遂行出来たのが何よりでした。

 

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長い上り坂をクリアし進んだ先の第1チェックポイントである段戸湖では自家製クロッカンの焼き菓子2種を提供、糖分をしっかり補給し次のライドへの準備をしてもらった。
ここでのお菓子は作り手本人から直接参加者に手渡してもらうことにした。 とても些細なことかも知れないけれど、やっぱりこれが美味しさを何倍も引き出す秘訣だと僕は思うのです。

 

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そして昼食のポイントは鳴沢の滝を望める気持ちの良い場所。
今回グルメセンチュリーの準備を進めて行く中でこの場所に出会えたのは運命のようなものでした。
日本での開催らしいグルメセンチュリーを成功に導くことになった一番のポイントだったかもしれません。

 

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この地域で栽培されるお米「ミネアサヒ」を使い、(有機農法で丁寧に育てあげたお米を、前日に精米を行うことで、さらにお米の美味しさを最大限に引き出してくれた 生産者 江崎さん のこだわりの逸品。)その現場で炊いてもらい、握りたてのシンプルな塩にぎりを おにぎりや 杉江さん に提供してもらいました。 炊きあがったお米の湯気がより一層美味しさを引き出してくれたのではないでしょうか。

 

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ボランティアスタッフとしても参加してくれた、地元の農家さんたちが丹精込めて育てた野菜をふんだんに使ったビュッフェは、僕の絶対の信頼がおけるシェフ quotidienの西尾さん による色とりどりのお惣菜。

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味はもちろんのことながら、テーブルでの盛りつけやセッティングはさすがのセンスでした。 西尾さんは以前、僕の働いていたお店の先輩で、今こうして時を経て共に仕事ができたことがとても嬉しかったです。

 

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そして実は多くの方が知らないと思うのですが、奥三河地区はお茶の栽培が盛んで、そのお茶農園のひとつ 猪俣茶園のイノマティーさん 本人によるお茶の提供というサービスも行いました。 全てを把握しているであろうその生産者さんが入れてくれる贅沢な一杯のお茶なんてなかなかそうは飲めないものです。 豪快な滝が望む最高なロケーションの中で食べるランチはとても贅沢な時間だった思います。

 

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第2チェックポイントでは 足助の町の和菓子屋さん たちからの補給サービス。
この日のために試作を重ねて作って頂いた絶品の新作和菓子が並びました。 こうして足助の街の方ともしっかりと手を取り合い、ひとつのイベントを念入りに作り上げていくことも今回のイベントにおける最重要なポイントだったのです。

 

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何度も現地に足を運ぶことでこのイベントの趣旨や、僕たちの強い想いに賛同していただき、ご協力をしてくださったことをとても感謝しています。

 
 

一方その頃、我々ディナー班は夜の食事に為にせっせと準備を進めていました。

 

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大量の食材の下ごしらえから始まり、煮て、焼いて、蒸してとせわしなく僕らはキッチン内で働き続けていました。

 

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今回のメインシェフであるクリス・デミーノが僕たちが奥三河地方から厳選し集めてきた材料を元に考え上げたメニューを段取りよく進めていました。 彼のシェフとしての経歴は素晴らしいものでありますが、経歴よりもより本質的な部分をここから目に植えつけることになりました。

 

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彼自身は本国アメリカでは何度も経験して来ているグルメセンチュリー、いつもと勝手の違う日本においても、なんのためらいもなく自信に満ちあふれた決定を一つ一つしていく姿に僕は感動すら覚えました。 全体的な調理の流れはすべて頭の中に出来上がっていて、250人という大人数にもあたふたすることなく十二分に余裕をもったその対応力はもう見ていてすべて圧巻でした。

 

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準備の整った食材は綺麗に一枚一枚盛りつけられ、キッチンには所狭しとお皿が並び、段取りよく進んで行きます。 第一部、第二部とに別れ、それぞれ120名分ほどの料理が一斉に運び出され、一皿目が終われば、止まることなく二皿目、そして三皿目と次々に進めて行く。 バタバタとなる中でも関わってくれたデミーノ、そして百年草のシェフ全員との緊張感のあるやりとりはとても居心地がよく、今まで感じたことのない新しい感覚でした。

 

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そして全ての料理を出し切った後にデミーノとふたりで会場の雰囲気を見に行った。

 

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この企画をずっと進めてきたときからイメージし続けていた景色がそこにはあり、だれもが笑い、楽しみ、音楽に体を揺らし、至福感に溢れている顔を見ただけで本当によかったと思いました。 料理でここまで参加者を楽しませることが出来るということに対し、とても誇りに思えたし、自分自身がどうして料理を仕事にしているのか、その本質がそこにはそのまま存在していた気がしています。

 

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アメリカで開催されているグルメセンチュリーというイベントを日本で初開催するにあたり、僕らが僕らでしかできないやり方をずっと模索し続けてきました。 足助という町に通い続けることで見えてくるその土地の魅力に惹かれ、どんどんこのイベントへの想いが日増しに強くなっていきました。

 

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「食」の全部門の全てに関わらせて頂き、すべての関係者各位に直接会い、お話をさせて頂き、賛同してくれた方々の力を借りここまで作りあげることができました。 皆様に心から感謝しております。 そして参加者の皆様もご参加いただきまして本当にありがとうございました。

【食に関してご協力頂いた方々 順不同】

徳八農園の徳さん夫妻
いのはな農園の渡邉さん夫妻
巾辰商店
KIIZ SMILEのかずちゃん
maison YWEのみなさん
ZIZI工房、 バーバラはうす
HANDの岡本夫妻
猪俣茶園のイノマティーさん
おにぎりやさんの杉江さん
quotidienの西尾さん
足助和菓子組合(両口屋、川村屋、加東家、風外)
とよた夢農人の二宮さん
スーパーやまのぶの会長
岡田屋酒店
村定酒店の中山さん
お米農家の江崎さん。

  

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もちろんこれだけではなく、この方々たちの後ろにはもっともっとたくさんの方の支えがありました。 ほとんどが今回このイベントを機会に初めてお願いさせて頂いた方ばかり、みなさんの想いのこもった食材や調理技術があってこそ完成できたと思っています。

 

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また来年もあるのでしょうか? どうでしょうか?

 

ぼくはやりたいです。

 
 

世紀食通編 <走> へと続きます。

 



GOURMET CENTURY ( http://gourmetcentury.com/ride/)

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