[Bike 伊豆 between you and me] オデュッセイア
アルタクスは悲しみに囚われて沼へ沈んでしまいましたが、アルタクスを亡くし失意のどん底で涙に暮れるアトレイユが沼に沈まなかった理由、それはぼくにはわかりません。
アトレイユの愛馬、アルタクスであれば飲み込まれてしまうであろう悲しみの沼を、ぼくはこの靴と共にいくつも越えてきました。
それでもソールが剥がれる気配など一つも感じません。
ドレッシーな風貌とは裏腹に、とんでもない耐久力の片鱗を見せてくれているQuoc Pham。
片鱗と記したのはシムワークスが取り扱いを始めてからまだ三年弱ということで、真の耐久性は未だ未知数なのです。
Daisy Messengerイズル先生の酷使っぷりを拝見すると、ちょっとやそっとじゃ壊すことは出来ないというのは火を見るよりも明らかなのでした。
今週土曜日にQuoc Pham SHOE CARE WORKSHOPが開かれるということで、参加することが叶わないぼくはどんなひがみをここに書こうかと思ってもみたのですが、真面目に役目を果たそうと改心します。
ぼくなりの言葉で。
ぼくが愛用するTourer。
とても素敵なモデル名です。
旅という事象に憧れないわけがない人たちに向けた製品となっております。
古代ギリシャの長編叙事詩にオデュッセイアという作品があります。
30文字以内で説明するなら、主人公オデュッセウスが愛する妻の元へと帰る冒険譚です。
全てのロードムービーはオデュッセイアを原案にしていると言った人もいますし、事実ぼくの愛してやまないコーエンブラザーズの「オー・ブラザー!」は原案ではなく原作をオデュッセイアとしていますし、実はまたしてもぼくの愛してやまない「風の谷のナウシカ」のナウシカはオデュッセイアに登場するナウシカアというお姫様がモデルだったりもするのです。
ぼくらの社会は見渡せば「旅」で溢れかえっているわけですが、人々はどれだけ旅に憧れているのだという話に尽きると思います。
だからこそ人生の例えに旅という言葉がすかさず湧いて出てくるのでしょう。
そして自転車に乗って移動するぼくらは毎回のライドを旅とすることが出来るじゃないですか。
旅に大きい小さいはあっても単位は同一です。
自転車レースだって一つの旅としてカウントされて然るべきかとも思えるのです。
っていうTourerユーザーの夢想です。
Urbaniteを羨むもurbanという言葉が行き場を失う田舎に暮らしているのですが、ぼくなりのUrbaniteの田舎煮込みをいつか試してみたいところであります。
それではワークショップに参加される皆様、どうか楽しんで!
text : Hiroki Ebiko / SimWorks XC Racing [Blog] [Instagram]