RIDE IS LIKE HAIKU vol.11
Text & Photo by Tomokuni Ohmura
2019 10 01
走れど走れど満たされぬ、ライドへの欲求。
求めしライドは、まだ見た事のない景色。
あの峠を越した先に、どんな景色が待ち受けるのだろう…。
近年の働き方改革とやらで、休まず働く事が絶対悪と見なされるようになってきた。
おかげでこれ幸いと、十年をとうに過ぎた社会人生活の中で、初めて有休休日なんぞを取得する事に…。 会社の稼働日に休む事に一抹の罪悪感を感じるものの、日、祝とさらには有休を使って三泊四日の九州、阿蘇ライドを決行した。
大分空港へ降り立ち、国東、別府、湯布院、阿蘇へと「くじゅう」と呼ばれる地域を4日間でノンビリと走るライド。 一生懸命にペダルを漕ぐのではなく、マイペースに、時には足を止めて、目前に迫るくじゅうの山々をゆったりと走る。
幾つになっても見知らぬ土地をライドする事は心躍る。
あの峠の先にはどんな景色が待ち受けるのだろうか…、あれほど罪悪感を感じていたのに、いつの間にか仕事の事を忘れてペダルを廻す。
いつもの峠であれば、どうしても苦しい時にはうつむき加減でペダルを漕いでしまう。 それでもどんなに苦しくても初めて訪れる峠は上を向いてペダルを漕ぐのは、あの先にある景色を見たい為だろうか。
くじゅうの道を前へと進む。
空はいつの間にか高く感じるようになり、日差しは少し残暑を感じさせる。
それでも風はからっとした秋風が身体をすり抜ける。
そろそろ脚が重くなり、息も上がってきた頃に峠の頂上を迎える。
やっぱり思ってた通りの景色。
やっぱり車で行くよりも、
やっぱり自転車でたどり着いた方が最高に気持ちいい。
『頂に身体すり抜け秋の風』
それではまた次回。