禿げゆく日々に心の強さ繋がる
Text by Hiroki Ebiko /Photo by Yusuke Yamagishi
セルフディスカバリーアドベンチャーイン王滝、100kmシングルスピードカテゴリーに挑戦し続けて5年、今大会で2位を獲得し念願の表彰台に立つことが出来ました。
レースの数日前に肋間筋肉離れを患い、時間をかけて丁寧に塗り固められた信念の塔が音もなくただれゆくのを心の内側に感じたのでしたが、竜神のように荒れ狂う痛みを何とか檻に閉じ込め、100kmを耐え抜くことが出来たのでした。
5年という歳月は長い。
5年前は不足なく髪の毛をたたえた頭もいよいよ禿げ始めたところです。
最大の目標を達成するに至った経緯は全て説明が付きます。
ひとえに、今年はとにかく練習に禿げんだからなのです。
ではなぜ今年は練習に励んだのか、それはチームの存在です。
特にシムワーカーでありチームメイトである山岸を大いに意識していたからに他なりません。
シムワークスレーシングはシクロクロス主体のチームで、マウンテンバイクレースをメインに走るのは主にぼくだけでしたが、今年からはチーム全体がマウンテンバイクレースにも注力してきました。
山岸はぼくと同じくシングルスピードのマウンテンバイクを駆りレースを走りました。
どうやらぼくと山岸の脚力は伯仲しているようで、二人でパックになってレースを進めるというシーンが今年走った全てのレースであったのです。
王滝100kmの中で”無限坂”と呼ばれる重要なセクションであり局面においても二人でのパックとなって天を衝くほどの登り坂を往くのでした。
独りでマウンテンバイクレースに参戦している頃は練習に勤しんでいると言っても真にモチベーションを維持できていなかったというのが実です。
山岸との競り合いは日々の練習を実りあるものに変えました。
今年は町内会の仕事や子供の習い事、資格試験に向けての勉強もあり休日は満足のいく練習は出来ていませんでしたが、そのことに苛立つことなく平日朝4時からの練習を楽しんで続けることが出来ました。
山岸に負けたくないというよりは山岸と最高の勝負がしたい。
そんな願いが目覚まし時計が唸りを上げる4時の数分前にぼくを目覚めさせることもありました。
今シーズン表彰台には4度立ちましたが、山岸の存在あってこその結果なのは間違いありません。
ギシさん、いつもありがとうございます。
おかげで5年間という長いトンネルをやっと抜け出ることが出来ました。
次回はどうかパンクさせないでください。
そして一緒に表彰台に立ちましょう。
text : Hiroki Ebiko / SimWorks Racing [Instagram]