「完全に中毒だった。頻度もそうだが量も普通じゃなかった。夜中に目を覚ましてしまうこともあった。フラつきながら乱暴に冷蔵庫の扉をあけると、決まって一番手前にある。コップなんて使わない。1 秒でも省きたいし、それが喉越しの良さを最大化できるからだ。Colt のリヴォルバーが口の中で暴発したように、甘酸っぱさと、その裏の渋みが味覚と嗅覚のすべてを瞬時に制圧してしまう。ゾワリと毛が逆立ち、追って放出されたドーパミンが真っ白な恍惚と感謝の気持ちをもたらしてくれる。グレープソーダは人類文明が生み出したマスターピースであり、危険な秘薬さ。なんとも危険な秘薬さ。」

シアトルでの「Grape」のレコーディングを無事に終えたその日、リリースするのはレコードではなく、自転車部品だ、と連絡が入った。そんな夢を見たんだ。