Golden Pliersと泥除けとポートランド
Text by SimWorks / Photo by Rie Sawada, Ryota Kemmochi
ポートランド市北部、ウィラメット川に沿うように配置された広大な操車場はいかにも工業都市然としていて。
その向こうのノースポートランド地区にはゴールデンプライヤーズというバイクショップがあって、そこにはケヴィンという男がいて。
ナニ知っているの?そんなに有名なの彼!?って場面が遠く東海岸のフィラデルフィアなんかでもあったりして。
世界は狭いよねなんつって微笑み交わせるのが自転車界隈なんですけれども。
アメリカはノースウエストに位置するポートランドという街は年間の平均降水日数が150日を超えていて、つまり雨の日が多い地域。
晴れの日が6月から9月の夏季に集中するので、秋も終わりに近づくとまた次の夏までずーっとしとしとと降ったり止んだりの日々が続く感じだ。
ちなみにこの平均降水日数(降水量0.01インチ以上)はロサンゼルスではたったの35日ほど。同じ西海岸でもこんなに違う。
当然、求められるバイクの仕様も違ってくるという訳。
僕たちシムワークスが本格的にアメリカに向けた輸出業務を加速させて1年が過ぎた。
クリスキング社の一角を間借りして置いた小さなオフィスと倉庫からは、この時期たくさんの本所フェンダーが出荷されていく。
これらのフェンダーの行き先はやはり雨の多い地域。
ポートランドローカルのバイクショップへはハンドキャリーするのがちょっとした楽しみになっていて、おしゃべりの端々にはポジティブな未来へのヒントが転がっていたりするものだ。
この日もゴールデンプライヤーズにフェンダーセットを届けに行った。
Crust Bikesなんかが650bあたりのモダンなツーリングスタイルをゴリゴリ開拓していて、その開拓精神などはまた何かの機会にでもお伝えできれば良いんだけど。
とにかくどれもぶっといタイヤのオフロード・エクスプローラーで、もちろん乾いた荒野だけがフィールドじゃないものだからどうしてもフェンダーが欲しい。すごく欲しい。
ケヴィンからはずっとそんなオファーをもらっていましたね。
以下はケヴィンの組んだバイクの例。
フェンダーの取付けというのはとにかく手間が掛かるし、技術や知識はもちろんなにより美学がとても重要。
本所のフェンダーは予備穴が無いからフレームに合わせて完璧な位置にステーを配置できる。でも、さぁどこにする?
砂利を巻き上げながらガタガタ道を何百マイル進んでも不具合の無い、快適で美しくフィットしたフェンダーフィッティングにはやはり精通したバイクメカニックに頼りたいところ。
ケヴィンはそんなバイクビルディングをアートだと言う。
OK、じゃ君はアーティストだね。
#swFenderのハッシュタグコンテストでは、彼にプライズを贈った。
スタイルをアップデートしていくアーティストの一人として、これからも邁進して欲しいし、同時に日本のみんなにも注目して欲しくてこんな記事を書いてみた。
だって、日本も雨が多いところでしょう?
実際フェンダーのスタイリングやフィッティングについてはアーカイブが無いに等しい状況なので、少しでも参考になればと提案したのが#swFenderとか#SimWorksByHonjoで、まだまだ投稿が少ないんだけどね。
だから、本所フェンダーを装着した愛車をアップする際にはこんなタグを使って、皆の知恵の一部にしてくれたらと思う。
ということで、ポートランドに行ったら必ず寄るべき場所、ゴールデンプライヤーズ。
美味しいコーヒーが飲めるし、タップにはフレッシュなロコビアーもセットされてるから。
Golden Pliers
1451 N Skidmore St Portland, Oregon
https://www.goldenpliers.com/