Big Little Nick Bar – 孤独の設計、自由のかたち
いつからだろうか。
「自由であること」という言葉が少し息苦しく響くようになったのは。
昔の社会は不自由だった。
けれど、同時にあたたかかったと記憶している。
何をすればいいか、どう生きるかを深く考えなくてもよかったからだろう。
生まれた家、働く場所、信じるもの、
それらが勝手に自分を囲い、生きる意味を与えてくれていた。

いま、人々はその囲いを壊してしまった。
好きなことをしていい。どこで暮らしてもいい。
誰の指示も待たず、選択肢は無限にある。
だが、無限の中では、何を選んでも「正しい」とは誰も言えない。
自由とは、同時に重さを持つのだ。

自由とは風ではない。
それはむしろ、「自分で設計する檻」に近いと、わたしは考えている。
人は制約なしには長く立っていられない。
毎朝同じ時間に起きる、店を開ける、コーヒーを淹れる。
そうした小さな規則が、自由の骨組みになっていく。
誰かに命じられてやるのではなく、自分で決めて、それを守る。
その瞬間、制約は支配ではなく支柱になる。
「こうでありたい」と思う姿を形にするために、人は自分のための檻をつくる。
それを、デザインされた制約と呼んでみたい。
孤独とは、その設計の副産物なのだ。

SimWorks by NITTOのロングセラーであるLittle Nick Bar。フラットからほんの少し手前に戻ったハンドルは、自由なライディングのために多くの舵を切ってきた。
自由を選ぶとは、誰かの物語から静かに降り、自分の言葉で自分の物語を語り直すこと。
そこには必ず、空白が生まれる。
理解されない時間、正解のない道、答えを持たない日々。
だが、その空白こそが、創造の余白でもある。
孤独を埋めようとせず、観察してみるといい。
不安の奥に、その小さな輪郭が見えるはずだ。
それが、あなた自身の物語の始まりになる。

今回新しくリリースする”BIG” Little Nick Barは、より深く手前にスウィープしている。Little Nickは15°、Big Little Nickは32°である。その17°の角度差をどう考え、どのように使うのか。ライドの自由、スタイリングの自由をどのように組み上げていくのか。
社会が与える物語を失った代わりに、
人間は「自分の物語を書く」という自由を得た。
それは不安定で、少し手間がかかる。
けれど、自分の制約をデザインできる人は、
他人の自由も、優しく、正しく理解できるはずだ。

たぶん、自由とは、孤独の果てに見つける秩序のことなのだと思う。
不安と安定、選択と諦め、
そのすべてを自分が引き受けるという姿勢。
そのバランスの上にしか、本当の意味での「生きる」という感覚は立ち上がらないのだから。

Big Little Nick Bar
素材 : CrMo Steel
ハンドル幅 : 700 mm (center – center at ends)
センター径 : 25.4 mm
バー径 : 22.2 mm
ライズ : 0 mm
バックスイープ角度 : 32 deg.
グリップエリア : 170 mm
カラー : Silver, Black
Made by NITTO, Japan












