【SimWorks CX Racing】日常から非日常へ。
Text by Aya Akamatsu / Photo by Yusuke Yamagishi , Ryota Kemmochi , Toyoshige Ikeyama , Manami Ikeyama , Hiroki Ebiko , Maki Kinumura , Aya Akamatsu
先日のワイルドネイチャープラザで行われた東海シクロクロス最終戦が終わってから早くも数週間が経った。何もない週末を迎え、張り詰めいていた緊張感も和らいだ反面、どこか心にぽっかりと空いてしまった気持ちになっているのは私だけだろうか…。
シクロクロスを始めて、かれこれ5年が経とうとしている。今シーズンほど毎週毎週、遠征へと繰り出したのは初めてだった。週末になるとまるで儀式のように前日から準備を行い、まだ街が静かで夜が開けていない早朝から出発し、睡魔と戦いながら、会場へと車を走らせた。
(実際は、いつもレース会場まで車の走らせてくれたのはチームメンバーのギシさんで、隣で睡眠を取らせていただいたおかげで、多少なりともレースにも良いコンディションで挑めたというのはここだけのお話。)
今シーズンのSimWorks CX Racingはギシ&アヤが中心となり活動し、同時に、一人でも多くの方にSimWorksを知っていただけるように、レースに参戦するだけでなく、毎回ブース出店も行った。
ブースでは、Chris Kingのフリーメンテナンスやオリジナル商品の販売を行った他、PINE FIELDS MARKETのお菓子もご用意し、老若男女問わず多くの方にお越しいただいた。
また東海地方だけにとどまらず、関西や関東方面にも活動の幅を広げることができたのも、我々にとって非常に貴重な機会となった。これも皆さまのからのご声援、ご協力、そして各地のレースを主催、運営してくださった皆様の尽力があったからこそ。本当にありがとうございました。
そして、決して忘れてはならないのはサークルズの仲間やチームメイトの存在。SimWorks CX Racingのメンバーがレースを戦い抜く中で、その存在は大きな支えとなった。
今シーズンを振り返ってみると
第一戦目の東海シクロクロス@平田で優勝し、C1へ昇格したギシさんは、数年ぶりとなるC1でのレースにも気負うことなく毎レースごとに力をつけていき、最後まで安定した走りであと一歩で表彰台が見える位置に。私も負けてられないと、シーズン通して最後まで走り続けることが出来たのは彼のお陰だ。ただ最後まで身体に生ギズが絶えなかったというのはここだけの話だが、来シーズンはいかに。
普段はBike to Fishingに勤しみ、愛知牧場のレースに照準を合わせていくシゲさんやサークルズの仲間が土日も営業するお店を守り、サポートしてくれるからこそ、我々が安心してレースに参加出来る。
行く時は「頑張れ。」、帰ってきたら「お疲れさま。」、そして勝って来れば「おめでとう!」と喜んでくれる、そんな心強い仲間からの言葉がさらに、我々に力を与えてくれたことに揺るぎはない。
昨シーズンC1に昇格しそうな勢いがあったジャスミンは、実は膝を負傷していたことが発覚。思うように走れなかった悔しさは本人が一番感じているに違いない。だがレースを走る我々を誰よりも気遣ってくれて、ピット、ブース、撮影などのサポート、そして全力で声を張り上げ応援してくれたジャスミンの存在は、非常に大きいものだった。
昨シーズンシクロクロス東京でC2に昇格した、伊豆のシングルスピーダー・エビコ氏も人生初のぎっくり腰で休養に勤しむシーズンであったが、秋ヶ瀬バイクロアで楽しむ姿を見せてくれた。
もう一人のシングルスピーダーでチーム最年少のレイは愛知牧場で優勝しC3へ昇格。得意なバニーホップで会場を沸かせ、そしてみんなを盛り上げてくれたのは間違いなく彼だ。
楽しみながら強くなるということ
私はというと、昨シーズンまではパッとしない成績で、他の選手からもそこまで注目されることなく、何となくレースをやり過ごしていた。
これまで思うようにレース活動が出来なかった悔しさをバネに、今シーズンはレースで経験を重ねて行くたびに成績も良くなり、年が明けてからのシーズン後半はさらに調子をあげ、結果もしっかりついてきた。
東海シクロクロスのシリーズチャンピオンも獲得する事ができた。
正直なところ、私自身がここまで結果として現れるとは想像すらしていなかったし、まだまだ日本のトップレベルに達する走りではないが、世界の舞台で戦ってきた選手たちの背中が多少なりとも近くなったような手応えを感じた。
皮肉に聞こえるかもしれないが、私はローラー台や筋力トレーニング、インターバルトレーニングなどの練習は一切しない。それはテニスを真剣に取り組んでいた時から変わらないのだが、黙々とストイックに練習に励むのが苦手というのもある。
それよりも休日に行く仲間とのライドで、景色の良い道をワイワイ楽しく走りつつ、ちょっと寄り道なんかもして、お腹が減れば一緒にごはんを食べ、そして帰る頃には今日も1日良い日だったと充足感に満ちる、今はそんな時間が最高に楽しいのだ。
特別なことではないのだけれど、それは私にとって有意義な時間で、その瞬間を純粋に楽しむことが、自然と速さへと繋がっているように思える。
だからレースをただ走って結果を出して終わりというだけでなく、同じ時間と痛みを共にしたライバル達とゴール後に交わす会話を楽しみ、会場の雰囲気を楽しみながら仲間を必死に応援したりする。
フツーに生活する中で大の大人ががむしゃらに、しかも鼻水を垂らしながら、泥だらけになることなんてあるだろうか。レースという現場で生み出されるのは結果だけでなく、そこからまた新たな出会いへ広がっていくつながりだ。
じわじわと広がりを見せているシクロクロス。レースはちょっと、、と思っている人も、遊びの延長だと思って、体験してみてほしい。走っても楽しいし観ても楽しい。ようこそ、日常から非日常へ。
シクロクロスクリニックもやってます
そんな思いもあって、出店やレース活動以外に、月に1〜2回のシクロクロスクリニックをSimWorks CX Racingのメンバーで開催している。子どもから大人まで年齢性別問わず、垣根を越えて参加出来る、それがシクロクロスの一つの魅力だ。
このシクロクロスクリニックは来シーズンも開催するので、またお気軽にご参加ください!
次のシーズンも、そしてMTBも
来シーズンもSimWorks CX Racingはさらにパワーアップして活動を広げていくので、引き続き我々SimWorks CX Racingの応援をどうぞよろしくお願い致します。
この春からはSimWorks XC Racingとして、エビコ氏&ギシさんと共にMTBにも挑戦していきます。MTBでさらに道無き道を進んでいきたいと思っておりますので、こちらもどうぞよろしくお願い致します。
赤松 綾