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2019/9/2

[Seven Cycles] バテッド加工 – Two Levels Deeper

セブンサイクルズの工房にある製造のプロセスの内、もっとも神秘的なのがチューブに対するバテッド加工の工程にあるでしょう。(シム註:実際、取材時そのパートは企業秘密とのことで見せてもらえませんでした)殆どの人がそもそもバテッドとは何なのか、なぜ必要とされているのか、更にはセブンサイクルズのチューブのバテッド加工が他のどの工房より優れていることを理解してもらえていないと感じています。今日はその辺りを掘り下げてお話しましょう。

簡単に言えば、バテッド加工とはチューブを部分的に薄くし、より軽く、柔軟にすることです。

近年自転車業界は、剛性をまるで「フェチ」とも言えるほどに追い求めてきました。まるでバイクというものはより硬くすることが常に、あらゆる状況においてより良いかのように。そんなことは決してありえません。エリートレーサーでさえ、パワー伝達の為の硬さに対するしなやかさ、トラクションの良さ対する快適さのバランスを戦略的にも無視することはありえません。バテッド加工はバランスのとれた、高度に洗練されたキャラクターのバイクを構築する上での鍵となる手法です。

ライダーは、パワー伝達の効率を最大限に引き上げ、同時に快適な乗り心地を得るために、バテッドチューブのフレームを必要とするのです。

セブンサイクルズが工房で行っているバテッド加工が如何に優れたものであるか、以下の3点にまとめました。

1)チューブをバテッド加工する前に、フレームの用途やライディングスタイル、舗装路か悪路、あるいはその両方なのか、パフォーマンスか快適さのどちらを重視するかバランスを取るのか、ライダーの要求に応える為に必要な設計をそれぞれのチューブ毎に行い、直径やバテッドの位置、量を決定していきます。
殆どのフレームビルダーはこのステップを踏むことなく、どのサイズのどんなフレームにも同じチューブを採用しています。

2)個々のライダーの為に専用設計され、数ある径や肉厚の中から最適なチューブが選ばれると、可変バテッドのプロファイルを獲得することでチューブセットの洗練度をさらに深めます。
実際、カスタムメイドの世界でこれを行っている他のビルダーはいません。バテッドチューブ使用のオプションがある場合でも、ほとんどが既にバテッド加工された状態で流通するチューブを仕入れて採用しているだけ、或いはオリジナルのバテッドチューブの採用を謳っている場合でもシングルバテッドにとどまります。セブンでは、更に2レベル深いカスタマイズを全てのライダーに提供しているという訳です。

3)セブンのバテッド加工はいわゆるアウトバテッド、つまりチューブの外側を削り込むプロセスによって得られます。アウトバテッドの利点は次の通りです。
・チューブ内部のグレインストラクチャー(結晶粒構造)を崩さないため、疲労耐久性が損なわれず、加工表面の再処理が可能である
・インナーバテッドのように、内部加工の為のツール(マンドレル)に制約を受ける事が無いため、チューブの肉厚をより薄くできる
・加工中もその様子をモニターでき、プロセス全体を確認しながら必要な微調整が可能で、狙い通りの結果が得られる

カスタムオーダーのフレームには、そのチューブも専用にカスタマイズされたチューブが理想的であることは言うまでもありませんが、当然そうしたものは流通していませんので、セブンでは社内でこれを獲得する手段を構築しました。さらに言えば、このような重要なカスタマイズを何千回も行ったビルダーはセブンの他に誰もいないのです。

現在のリードタイム(サインオフから発送されるまで):
無塗装フレーム 6週間 / 塗装有フレーム 14週間

ご注文、お問い合わせはシムワークスまでお気軽にご連絡くださいませ

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