[Bike 伊豆 between you and me] ある地域におけるマウンテンバイクの存在意義について
現在あるプロジェクトに加担しております。
出来るだけ彼らに協力したいのは、トレイルの質が素晴らしいから。
必要な許可を得て合法的に活動しているから。
彼らが地域の活性化をちゃんと考えているから。
と、色々あるわけだけど、これらはもはや前提とも言って差支えないと思います。
言うなれば基本のき。
(日本でマウンテンバイクが直面している状況について、レニー・ゼルウィガーが演じたルビーなら何と叫ぶかを想像することはとても容易いのです。)
あと一つ、ぼくと彼らには決定的に違う点があるということ。
彼らは廃道を発見し、そこでどのようにして遊べるか考えた末にMTBに辿りついています。
ぼくは、ぼくらは、MTBを入手してからフィールドを探しました。
逆なのです。
遊びに対してどう向き合い、自由と責任と利益を手にするか。
入り口とはいつだって目に見えるものとは限りません。
入り口として正しいのは、実は一般的な入り口でなく裏口である場合もあるはずです。
だから彼らは、機材は一等級でなくて良いと思っていますし、フィールドはMTBだけのためのものであってはならないと考えています。
彼らの地域の長老達はかつて幼少期に、その古道ではソリで下って遊んだそうです。
今の時代、彼らは何で下れば楽しいかを考え、MTBを選びました。
代表の松本という男はIターン者です。
彼は、生粋のロコを巻き込む必要があると考え、Iターン者とロコで成り立つコミュニティを築き上げています。
そして、彼らの山伏トレイルツアーはふるさと納税の対象商品になりました。
MTBを取り巻く環境はあちらこちらで厳しいものとなっている中で、彼らのプロジェクトは自治体お墨付きなのです。
よそ者のたかだか数年の事業が町にとっての財産と認められたということなのです。
古道を再生していく上で避けられないのは倒木の撤去や、山肌ごとさらって倒れかねない成長しすぎた木の間伐。
これらは無駄にせず、薪として販売しています。
買い手は自宅に薪ストーブを備え付けている個人客であったり、地域の鰹節業者であったり。
山の産業が海の産業を支える、かつては当たり前であった流れでしょうが、現代っ子のぼくは大いなるロマンを感じずにはいられません。
疎まれがちなマウンテンバイクですが、ちゃんと向き合えば地域にとってかけがえのないものと成り得るのです。
text : Hiroki Ebiko / SimWorks XC Racing [Blog] [Instagram]