FEATURE
2015/5/7
Condors take flight 2012

Text & Photo by Dylan Snodgrass/Edit by Shinya Tanaka

HUNTER CYCLES.
今回のNAHBSにおいても極めて異彩を放っていたメーカーではないではないだろうか。

私の親友のRickHunterが創る“マシーン”達は常に独創性があり、そしてユーサブル(きちんと使い切れる)であると言う2つの条件を必ず満たすことが彼の絶対的なモノ作りにおける哲学であり、彼の存在と言う“証”なのである。そんな男達はそれぞれに自分の分身となる証を手に入れて、そして旅に出る。そしてそこに残した証を今回の特集として組んでみました。

これは彼の古くからの友人TeamDFLに所属するDylanのブログのエントリーを日本語に翻訳したものです。ぜひ読んでいただけたらと思います。そしてコンドールは飛んでいくということを多少なりとも理解してもらえればHunter達も幸いだと思います。


Condors take flight! 2012

始まりはこんな感じだった。。。コンドール!

『コンドールの旅』はいつも辛い。しかし、今年で7年目である『コンドールの旅』は本当に辛い事を証明した。サンタ・バーバラ空港へ到着したころにはもう疲労以外のなんでもなかった。道のりはタフだったが、全てのコンドールたちはライドは最高だったという事を僕は知っている。

この旅は、カリフォルニア州ボニー・ドゥーンにあるリック・ハンターのお店からサンタ・バーバラまで海岸沿いの山を駆け抜けるというものだった。僕たちはできるだけ泥にまみれジグザグしながら南下した。本当にやってのけたのかって?当たり前さ!


1日目:

カリフォルニア州ボニー・ドゥーンからアロヨ・セコ・ロード/キャンプ場
(110マイル/176km)
キャンプ場のインフォメーション:http://bit.ly/HWarKs

サンタ・クルズから行くには2日間の食料などを積んで行くのがベスト。なぜなら、カンブリアまで食べ物を買うとなるとガソリンスタンドしかないから。

小雨と寒い中で僕らは起きた。みんな全てのギアを背負い、ハンター・サイクルズから地獄へと出発した。天気予報では雨だったが、僕らは嵐をもろともせず、ワトソンビルに着いたとき時には乾ききっていた。僕らは側道や、自転車道や、田舎道を通って南下した。
みんなとても機嫌が良く、前進しながらこんな話をした。明日渡る川は氾濫してないだろうな?カリツォ平原は泥だらけの悪夢にならないだろうな?サンタバーバラ山脈の雪の上は走れるんだろうな?コーヒーってちゃんと持ってきたっけ?

アロヨ・セコ・キャンプ場は綺麗な水があり、シャワーまである。ただし、25セントコインをいくつか持ってくる事をおすすめする。フレッドがものすごくおいしい夕飯を12個のゆで卵と一緒に持ってきてくれていた。フレッドの自転車が最初ものすごく重かったのはこのためだった。

納屋の側面にある『美』

修復の予定がある古い農家の家


最初の日はほとんど農地を走った。この景色はアロヨ・セコ・ロードの方へ進むリバー・ロードのどこかからか撮られたもの。

多くの難所を越えて、やっと僕の新しいストーブを使う時がきた。これは良すぎてたまらない! 僕が良く夏にハイキングへ行くカリフォルニア、オレゴン、ワシントンのキャンプ地はエージェンシーが入っていて、僕が今使っているようなストーブに対して制限が厳しいんだ。結果、木で料理なんか滅多にできない。THE Emberlit ULはとても軽く、フラットに折り畳める事ができ、使うには楽しすぎるくらい心から推薦したい。このストーブはここでチェックできる。


木で火を起こすことができないようなら、シンプルな猫の缶詰を朝には使うね。
猫の缶詰の情報はここで。


2日目:

アロヨ・セコ・キャンプ場からサウス・コースト・ロードへ。
泥だらけの60マイル(約96km)の道を進む。

お店は開いていないが、水はたっぷりある。インディアンズ・ロードの山が崩れているところにとても良い温泉がある。登り坂の頂上あたりにちょうどいいランチスポットがあり、そこで周りの岩の模様についてみんなで語る。軍の基地に続く川の水位が高く、その川が深いとなれば、危険であり、コンクリートの道は滑りやすくなっていたので自転車をひいて歩いた。フォレスト・サービス・キャンプ場で水を補給し、峠にてできるだけ乾いた所でキャンプをした。

キャンプ場からすぐに、ロス・パドレス国立森林公園に続く20マイルの(自動車の進入禁止場所)インディアン・ロードが始まる。ナシミエント・ファーガソン・ロードを登る前に、インディアン・ロードの後にフォート・ハンター・リジェット基地を通る。その軍事基地は実質上さびれかけており、比較的平地であり、オークの木々が生い茂っている。とても素敵だ。目を凝らせば、野生の動物を見る事ができる。2~3年前にはこの同じ道でマウンテン・ライオンを僕たちは見た。
ナシミエント・ファーガソン・ロードの頂上までいくと、南に続き、泥道がそれ以上に続く。サウス・コースト・リッジ・ロードはとてもライドするのに良いところだが、酷い目に合う。何度も何度も急な登り坂や、急な下り坂が長い間続くのである。幸いにも、景色は素晴らしく、とても開けた道なのにも関わらず、全く車がいないことを実感するにちがいない。僕らはこの未開のフォレスト・サービス・キャンプ場にある道沿いのどこかでキャンプをした。


いいね!アロヨ・セコ・キャンプ場を後にし、インディアン・ロードにさしかかったところ。


リック・ハンターがインディアン・ロードを走る

下の写真はリック・ハンターによる新しいコンドールの装備。(バージョン2.0/バージョン1.0はここを見てください。)リックの自転車は今年のハンドメイドバイクショーでも多くの賞を獲得し、確かにどれをとっても素晴らしいハンドメイドの作品である。
自転車に装着してあるバッグはオレゴン在住のリックの友人である女性に作ってもらったとか。彼女の作品や、彼女の言葉などはここから見ることができる。
そしてこのビデオを見て欲しい。ダート・ラグ・マガジンがリックに新しいコンドールについてインタビューを受けている動画がある。

De La Paz Coffeeのジェイソン・ベッドフォードが乗っているのはハンター29’erで、Porcelain Rocketっていうバッグをつけている。
Porcelain Rocketバッグは手作りの中でもぐんを抜いて素晴らしい質感をもっている。


ナシミエント・ロードからの眺め。国道1号や、海からカーク・クリーク森林キャンプ場まで見下ろす事ができる。まあ一番楽しいのはサウス・コースト・ロードで、本当に泥だらけになるんだ!


3日目:

サウス・コースト・リッジ・ロードからパソ・ロブレス
約100マイル(160kmほど)?リックとキャム、これって合ってる?

キャンプ場での水は池があったが、1年ほど使っていない感じだ。国道1号にあるラッジド・ポイントにて最初に食事と水を取る。カンブリアには、フードマーケット、バイクショップ、レストランなど全てのサービスがある。

サウス・コースト・リッジ・ロードにあるキャンプ場から南へ向かい、それがゆくゆくはロス・ブッロス・ロードから国道1号にかけて狂気に満ちた下り坂になっている。ブレーキは本当に良く効くものが必要で、エレベーターのように下るダウンヒルに真剣に心してかからないと駄目だと思う。楽しいけれど、本当に傾斜がすごい。下っている途中で2~3年前に同じ道を初期のコンドールで通った事を想い出してぞっとした。僕らは何を考えていたんだろう!下り坂が終わるころには、道は国道1号のようにコンクリートになっており、カンブリアまで車が側を走り始める。

僕らは日光を浴びて、気持ちの良い風を感じていた。だからライドはとても素晴らしかった。サン・シメオンの2~3マイル前にゾウアザラシがビーチにいるんだ。止まって、チェックしても後悔は絶対にしない。カンブリアに着くと、東に向かってサンタ・ロザ・クリーク・ロードにある沿岸の丘を渡った。地元のライダーが大好きなサンタ・ロザ・クリーク・ロードは迫力はあるが、最後までいかなければ目が覚めるような景色には出会わないであろう。最後の登り坂はほとんど壁のようだった。完全に狂ってる。
キャムが病気になったので、パソ・ロブレスにあるモーテルにてこのまま続けられるかどうか一晩考えた。残念な事に、彼をパソに置いていかなければならなくなった。モーテル6は安くて簡単に寝泊まりができる。パソ・ロブレスにマギーズっていうおいしいダイナーがあった。お腹がすいたライダーたちにはたくさんの量にできたてのコーヒーがたまらなかった。


サウス・コースト・リッジ・ロード


ロス・ブッロス・ロードでちょっとひと休憩。ダウンヒルのダートは半端じゃなかった。


サンタ・ロザ・クリーク・ロード


4日目:

パソ・ロブレスからビッグ・パイン・ロード
120マイルほど。

カリッツォ平原に入ることを優先にし、ソーダ・レイク・ロードの58から降りた所の学校にて水を補給。パソ・ロブレスにて食料を補給しておかないと、カリッツォ平原に入ったらサンタ・バーバラまでサービス・エリアは無い。もしどうしてもということが起きたら、ルート166にのり、そこからニュー・クヤマへ回り道をしたらガソリンスタンドがあり、カリッツォ平原を通り、そしてサンタ・バーバラ山脈に入ることをすすめる。

カリッツォ平原はとても美しく、素晴らしいところ。一本の泥道がこの広大な風景を通り南へ連れていってくれる。目を凝らして空を見上げると、平原の上をカリフォルニアコンドールが時々高く舞い上がっている。短い道はルート166からルート33へ、そしてカリッツォ平原になりロス・パドレス国立森林公園に戻ってくる。そして車はビッグ・パイン・ロードに移るともういなくなる。
その場所には山を確実に登り始める前に、そして準備するために、たくさんのキャンプ場や水がある。


広大なカリッツォ平原


ソーダ・レイクをみながらのランチ


何マイルも続くカリッツォ平原の未舗装道路

ここで少し中断して、コンドールツアーについての簡単な解説を。コンドルとは南米を中心にに多くすむ大型の猛禽類であるのだが、カリフォルニアを中心に生息するその名の通りカリフォルニアコンドルという種も存在しており、その自由に飛び回る姿を自分たちに見立て、毎年の恒例ツーリングのネーミングを“CONDOR TRIP”としてダートライド中心のアドベンチャーライドを7年も続けている。そして今年は彼の工場のあるボニードゥーンから南下しサンタバーバラ空港までのとても過酷なツーリングである。

メンバーのRickとJasonが使用するバイクは今年のNAHBSで展示されていたもので、早々にこの旅で使用されている事がわかると思う。そしてRickはこのコンドールの旅に使用する為のバイクを毎年新しいアイデアを取り入れて、実際に毎年それを使用してHUNTER CYCLESの“証”を刻んでいくことを楽しんでいる。

PS:来年、いや今年の秋にはリックは新作を日本に運び入れ、私たちと一緒に北海道にオフロードツーリング行くかもしれないのです。


さて、彼らのクルーの紹介と、その後の飛行に目を戻してみよう。


そして今年のコンドールクルーを紹介する。(目がくらんでしまって、適当な露出で、しかもiPhoneで撮影してしまってごめんなさい。。。)


team DFL野郎。Dead Fucking Last!!!(訳注:スラング。いつもレースだと何かしら最後に入ることのできる人間の事をいう。)


フレッド


ジンジャー


ベニー

力持ちのリックハンター

僕のカメラでキャメロンを撮ったら、何かが覆いかぶさっていて、なぜか撮れなかった。
ここに、キャメロンが2~3年前にインディアン・ロードを走っている想い出深い写真をのせておく。


5日目:

ビッグ・パイン・ロードからサンタ・バーバラへ
60マイル(約96km)

色々なところに水の補給地はあった。春だからこそ快適なライドができるが、夏となれば悲惨なフライパン状態になると思われる。ビッグ・パインズ・ロードはほとんどが車は通れなくなっており、質の高いダートコースが長々と下り坂になって続いていてとても楽しい。この旅において最後の登り坂であるアリョ・ブッロ・ロードに続く。エル・カミノ・ロードを下り、ペインテッド・ケーブ・ロードへさしかかり、最後の下り坂を走って、ノース・サン・マルコス・ロードには入りサンタ・バーバラへ。
ブリトーの時間だ!


朝の最初に登ったどこからか見下ろした自分たちの深く谷間にあるキャンプ場。


ああああ!自転車が酷くべたべたした泥のおかげで深く埋まって走れない。数時間は走らなかった。


誰か、余分なチェーン油もってるかな?


もしかしたら雪はそんなに深くなくて走れるんじゃないかな? あはははは!


って言うのは冗談で、頂上までが2フィート深く(約60cm)、4時間はこうやって自転車を押してあるいた。。。


頂上に着くと、雪は消えており、泥は水はけが良い土になっていた。下り坂の始まり。


ほとんどのサンタ・バーバラ山脈のルートは車が通れなくなっている。いいね!


永遠に続くかと思われるようなダウンヒルも、自転車を押していたことなんて忘れさせる。サンタ・バーバラ!俺たちはやって来たぞ!

僕たちは450マイル(約720km)くらい走った。ルート自体は大変だったけれど、素晴らしい地形を通り、未舗装の道路を通ったり、見捨てられたコンクリート道路を通ったりと本当に本当に良い旅だった。キャンピングスポットは色々なところにあり、規則正しく水分補給ができ、景色はなんたって最高だった。運が良ければ、カリッツォ平原で野花が採れるかも!

サンタ・バーバラではバンを借りて全て積み込んで帰宅した。電車でもベイエリアに戻ることが可能だ。GPSを持っていったので、どんな道を通ったかファイルがあるから、もし興味があったらメールをしてくれ。

僕はギアがついた29’erのMTBに乗り、WTBのナノラプターのタイヤを使った。そして、伝統的なツアリングのギアと、バイクパック用のバッグやフレームバッグを使用した。バイクパッキングスタイルをこのルートで使用して、2日間も色々なものを補給しなくても済んだくらい役に立った。
僕の親友でもあるキャメロン・ファルコナーがこの旅のためにこのフレームを作ってくれた。彼の作品はウェブではあまり見かけないけれど、彼は人と話す事で広告というものに対する概念を消化しているんだ。彼はポートランドの成り上がり野郎ではないし、彼は本気でレースもしてるし、彼の人生ほとんど自転車のためといっていいほどで、鉄の加工を仕事としているやつなんだ。彼のフレームは細かいところまで注意深く質にもこだわって作ってあるんだ。僕の装備はこんなにも使われているのに傷一つない状態で残っており、このフレームでもっともっと色々な冒険に将来いけることがとても楽しみだ。

ファルコナーサイクルズからもっとすごいものが出てくるのを期待してる。彼の色々な情報はここに載っている。

2006年の初期のコンドールクルー。 リック・ハンターに感謝!そして伝統を重んじる過去と未来のコンドールメンバーへ感謝!

左から右へ、ロブ“ジンジャー”セイボルト、リック・ハンター、ウッディー、キャメロン・ファルコナー、ダイラン・スノッドグラス。2006年が始まりの年だった。


そしてこれがその時の終わり。。。ワトソンビルにあったバイクの宝庫が後ろに見えるハンターの古いお店。

Talons!  (訳注:単純に爪という意味ですが、やり切った強者達と言う意味が込められていると思います。)

地名でイメージできないルートをわかりやすくするためにRickにルートマップを作ってもらった。
総走行距離720km!

View Condor tour 2012 in a larger map

最近は多くの人びとが自転車を使うことに慣れ始め、色々な遊び方を提案できやすくなってきている反面、与えられた物事を与えられたようにしか使い切れなかったり、自分の興味のあること以外には見向きもしないという悲しいかなゴルファー的(コースを決められ、打つ順番を決められ、ルールが覚えきれないほどあって、おまけに紳士のスポーツだなんて言いきってしまう。。。 冗談が過ぎましたすいません。)な自転車持ちも多くなってきているということも事実だと思う。
自分の自転車を自分で組み上げ、不備があれば自分で直し、最低限の装備を自分で選択して、自由に自分の進みたい道を勝手に行けば良いのじゃないのだろうかと、しかもそれは速くとも遅くともオンだろうがオフだろうが関係なく、とにかく前に進めば良いのじゃないかと、それが自転車(自転車乗り)の本質であってくれればと思うのだ。そしてそこで起こる様々な出会い(トラブルも含む)はきっと普段の生活からでは決して得る事のできない自分を成長させてくれるものになるのだ。(これは僕の経験から“絶対”と言い切れます。)
そんな“強い”自転車乗りが我が国にももっと必要になるのではないのだろうかと日々思うのだ。

次に続きます。

HUNTER CYCLES – ハンターサイクル

Rick Hunterが作るHUNTER CYCLESはカリフォルニアの大地を目一杯走り込んだ男が自身の経験に基づき設計し製造されています。ジャンル、車種、といったいわゆるカテゴリーの枠にとらわれる事無く、自らと乗り手の感覚を探求して最高のモノを作りあげる。もしあなたがHunterに跨がることになった瞬間から、あなたの自転車生活は確実に真実に変化していくことでしょう。


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