-Wednesday Selection- Oregon Day3
-Wednesday Selection-
Oregon Day3
TEXT : SHINYA TANAKA
PHOTO : RIE SAWADA
そして街を出た。
喧騒からはなれその真逆と言っていい生活の様子をうかがいにいく。
セーラムを超え、ユージンを過ぎたところから更に40分ウエストに。もうとにかく緑が生い茂るオレゴンから愛をそのままに置き換えた感じの場所が次々と現れる。カリフォルニアの田舎のそれとはまた違った、わりと色目は日本の田舎に近い感じなのだが一つ一つの物質のスケールがとてもデカイ。それを見ていると、あぁ今俺アメリカにいるんだなぁって、ほんとうの意味での実感に変わる。
ElktonBikeStationはその名の通りElcktonという人口が200人に満たないとても小さな町にあるホットステーション。
小さな町には僕のフェイバリットな人々が住んでいて、みんなで毎日作物を育て、鶏の世話をしてそれらから得た材料を使って料理をしたり、彼は町の最大産業であるワイン造りをたまに手伝い、そして彼女はたまっているオーダーのソーイングをして日々の生計を立てている。そして以前あった時は生まれたてだったベイビーはもう喋り始めていた。時が立つのがどんどん早くなる気もするのだ。
以前来た時よりもジャンクが少なくなった気がするのは気のせいではなく、去年から続く来訪者に良いサービスと良いイメージを持ってもらいたいと思ったらしく、かなり内部外部ともに整理をしていた。そして新しいサーリーのフレームが吊るしてあったり、ショウケースの中身が変わっているのを見れたことは本当に嬉しいし、やはり店を始めたことがある者として店が忙しいということを聞くことほど楽しいことはない。
そしてやはり食事は始まるのだ。
今日はとれたての卵を使った熱々のキッシュとエリックお手製のトマトソースと粉から練り上げた生地を使ったシンプルなピザ。僕が盛大に欲するシンプルなピザを回答もなしに作ってくれるのでますます彼らのことが好きになってしまう。
ダイニングがくっちゃくちゃになろうがお構いなしで、自由に想像を働かして好きなように創りあげる。それをもっともっととくちゃくちゃにする親がいる。
なんて平和でなんて自由で何がどう違ったのだろうと様々な思いが駆け巡った。
そんな平和な時間を過ごしたあとはまた喧騒に戻らなければいけない。
僕はそこには住めないだろう。しかしながらそこには僕の友だちがいつもいてくれて、僕たちの訪問を今か今かと待ってくれている。なんて贅沢なことなんだろうって素直に思えた。
そして次の日の朝にはもう空港にて夕食が食べれるであろうプライスが付いた朝食をビールとともに流し込む下品な自分がいた。でもそれはそれでけっして悪くはないとも思ったのだった。
California Daysに続きます。