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2014/8/18
-Monday Selection-2014夏旅事後録 "中編"

2014夏旅事後録 “中編”

 

うんざりとするコトは何処にでもあるだろう。 それはわが国でも他の国でも一緒だ。
そんなうんざりを素直に繰り返す我々の文明の歴史は希望と対価という形でペイバックされているのだろうか。
そんなうんざりの繰り返しなのか、はたまた希望に満ち満ちるのかは現段階では分からないが、わりと多くの人たちに期待されている某国を某街を振り返ってみようと思った。

 

-豊かな街にはスーパーシリアスな面々が必ず必要なのです。

 

シリアスにいい子ぶるのも良し、シリアスに不真面目になるのもいいでしょう。
そして最低限にお互いの価値を見いだせると、なおよろしいのだと思うのだがコレがなんとも難しいのです。 そしてそんな価値の相違を抱えながらひとつの場所に居続ける人もいれば、面倒くさいと投げ捨てて移動を選択する人もいます。 わが国では圧倒的に一度決めた移動から逃れることなく一生を終える人が多いように感じます、しかしながら米国では自身の求めた意識に忠実したがって、より良き場所に、さらには住みやすい(金銭的負荷も含め)場所を求め移動を繰り返すという思想が実際にこのポートランドという街を着実に作り上げていっていると感じるのです。
そして僕が西海岸にシンパシーを感じるのは各々のセンスオブユーモアが何よりも大事だと信じた人々が一般レベルにおいてより多く存在していて、それを用いて何とか自分のアイデンティティーを確立しようとしているところなのですが、それがありとあらゆる相違というものをヤレヤレと受け入れ、馴染み、そしてうんざりしながらも適度なジレンマを次への希望へと変化させていくしか無いのだと悟った人々の答えのひとつの希望がまさにポートランド移住という選択なのかもしれません。 そしてまさに”自由であったはずの”カリフォルニアから新天地を求め北へと向かう人々が増え続けている理由なのかも知れません。
そしてこのムーブメントの時間という基本軸を一般的なものに対しもっとゆるやかに考えたとするならば、(恥ずかしながらも僕の青春の思い出としての) まだビートニックなるものが存在しているのかもしれないと勘違いすらしてしまうわけなのです。

 


-冗談ではなくSUPER SERIOUSな面々。

 

前回のブログでは個人的な好みの自転車屋について少し喋ったつもりなのですが、世の中には様々なサービスが形を変えて品を変えて存在することは確かです。
このブログを読んでくれる人たちも自分の”愛すべき店”というものを持っていてくれているととてもうれしいのですが、とかく人の好みは様々で何がどのようにして良いということを万人に共通理解してもらうということは極めて難しいことだと知っています。 現に私たちSimWorksが良いと信じて提供させてもらっている諸所のサービスについても、人によっては最高だと言ってもらえるし、もう少し与えてほしいとも思う人もいるでしょう。全然足らないと考える人も、さらには過剰サービスすぎるという意見も業内にはジョークでも言う人がいたりもするのです。

 

余談ですが愛すべきお店のポイントとして極めて明確な個人的な答えが1つあり、それは人と物のバランスが良いということに尽きるのですが、そのバランスの取り方(方法論)も色々あってどれが正解でもないのですが、あぁ良いバランスがとれているなと思うとても自分勝手な解釈こそがいつも大事だと思うので、それを少なからず理解するにはそれなりにお金と時間を使い、それなりに観察をして、いいことも悪いことも見る必要があるのだと思うわけです。また往々にしてこの続けるという行為を若干おざなりにして答えを早々に出してしまっている人に出会うこともあるので少しもったいないなと思う時があるということも付け加えておきます。

 


-アナログレコード専門店 ミシシッピーレコード

 

後に登場するSweedeedeeというレストランの隣にあるお店なのですが、至って普通のアナログ専門店です。まぁこの至って普通のアナログ専門店というのが肝なのですが、それがまさしくとてもポートランド的なのです。 捨てるべきものを捨て、必要とされることに無理せず特化する事によって多くの対価を得た、仮想社会を構築し続ける人びとから少なからずのヒントを得たのかどうかは知りませんが、全てを欲しがる人々とどう決別する必要があるのかを考えつくしたであろうその店舗のつくり(街のコーナー作り)には目をみはるものがあります。 そしてこの町内の一角には3件しか店舗はありませんが、(もう1店舗は八百屋さん)そのどの店も相当に各々が必要ないでソフィスティケートされているのです。

 


-マガジンハウスでおなじみとなった自転車屋VeloCult。

 

VeloCultが素晴らしいのはその店舗作りの順番でしょう。サンディエゴからスタッフ総出で引っ越してきただけあって、失敗が許されない状況下でオーナーであるスカイさんのその念密な店作りスケジューリングにはとても圧巻されます。彼は自分の所有していた年代物自転車の90%を売り払い、お金を作りポートランドに引っ越してきたわけなのだが、(お金に変えられないものだけが店に展示してあると思ってもらってよいでしょう。)まずはポートランディアにその絶対的に普通では手の届かない価値のビンテージバイクを展示することにより自分たちが真の自転車ギークであるということを証明したのでした。その後ポートランドを見渡し、この街の現状で何を与える事ができるのかを考え、修理サービスを最大の軸として、カフェバーとライブハウスをコミュニティー形成の機能としてまず店に組み込みました。 そして販売に関してはどう考えているのかとの問いに彼は続けます、セールスという現場はとても簡単に作れるから、一番最後でよかったと。まさしくそのとおりだと僕は思いましたし、まずは必要とされることが店にとって何よりも大事なのことなのだと今更ながら思い知らされるのです。

 




-そして先に名前を上げたSweedeedee

 

2日通いました。 野菜はフレッシュで味は適度に質素なのですが、要所要所に手間暇をかけていることが厨房や料理からしっかりと見て取れます。 もしお金が湧き続けるのなら誰でも毎日通えるはずです。 そしてまさしく”食”がこの街を成長に導いてくれていると思いますし、さらに紐解くきっかけにもなります。

 

毎日続けることや特別なこと、その必要とされる物事はそれ以上に提供すべきではないことを知った人々が何を提供しはじめるのか? 結構わが国やヨーロッパのような長きに渡りサービスや品々を提供してきた国では当たり前だったことが、この国では難しく考えられていたように思うのです。 しかしながら時を経て、”足るを知った”人々は文化や生活を繰り返すことや他国の生活を知ることによってそのサービスの充実と内容をしっかりと変化させてきました。 そしてやはりクオリティーと安全、信頼(僕らにとって当たり前だとされていること。)が長期的かつ持続可能な生活の創造にはもっとも重要なファクターだとも理解したのだと思います。 結果的に提供する内容やその量にも変化が現れ、それぞれの役割が明確になったポートランドの食という文化にワクワクする人が増えるわけだと思うのですが、今まさにここで再考すべき点は私たちが既に持ち続けてきた文化の良点がかなり含まれているとも言えることですし、あまりファッショナブルに捉えすぎずに僕たちの行うべきことを自分たちの環境下内で行うべきだとも思うのです。

 

まぁあまり説教臭いのは誰も読まなくなるので美味しかった写真を順にあげておきます。

 


打って変わり、超ヘビー級だけど誰もが大好きパインステイトのビスケットサンド。 基本は南部料理ですがポートランドで繊細にアレンジされ人々の支持を受けました。 某アー◯ーバーズも真似したのではないのかといういわくつきの食べ物。 まさしく超弩級の絶品です。

 


Laurelhurst Marketは最近話題なブッチャーレストラン、自慢の前菜は生ハムとモッツァレラをオレゴン産の桃とナッツをオリーブオイルで仕上げるとてもシンプルな一品。 桃と豚がアメージングでした。

 


最後は某シシップ料理王子のお手製ディナー。 赤身をしっかり噛んで食べる肉文化を今一度考えるのもいいでしょうし、ワシントン産の牡蠣は中型がおすすめ。 王子はいつも旨味を追い求めます。(注:彼はれっきとした自転車パーツ製造業に勤務しているはずなのですが、その料理のクオリティーの高さにいつもすこしうんざりするのです。さらに付け加えると彼の企画からグルメセンチュリーやエスプレッソタンパーの製造が開始したのでした。)

 

最後に思うことは今後はポートランドにアングロサクソンとアジア以外の民族がもう少し入り込んできたらもっと面白いことになるでしょう。 シアトルで生活をしていた経験から北西部には白人が多すぎるという点が少なからず気にはなりますが、ノースウエスト特有の少し雨が多い(約200日以上)という点を移住をしたがる人々がどうクリアしていくのかがいずれにせよ今後の成長の課題にはなるかもしれません。しかしながら雨が多いということは作物が立派に育つということ他ならず、より多くの活動的料理人がこの街に集まってくるのを期待してしまうのは僕だけではないでしょう。 また正直に言うとポートランドは20年前まではとにかく馬鹿にされる地方の田舎町の代表だったという事実です。そして今のポートランドは僕の目線では日本の90年台を濃縮して現代風に的確に還元した街に思えるときもあるのです。多くの新しいもの好きの人々がポートランドにいままさに注目をしている意味もなんとなくわかるのですが、そのこの街で今創られているモノマネをただ輸入するのではなく、日本でも有効的に活用できること出来ないことをしっかり見極めたうえで、私たちの世代が未来を見据えてより日本的に構築するほうが絶対的に面白くはないのだろうかとも思えるのです。 それはまさに地方の活用法これこそがポートランドの急成長を真に意味していることだと思いますし、この田舎町にパワーを集める方法論が大事だと思います。たとえばオレゴン州が率先して行っている税制の特別優遇等で大企業ならず若い企業ですらひたすらに誘致している事実や、やはり環境の持つポテンシャルと未来を見据えた上での民間企業の新しい事業挑戦などが上手く合わさっていく応用力、これらこそ今まさに日本の地方行政やむしろ今から未来を生きていくであろう若者が真っ当に挑戦すべき行動なのではないのかとも思うわけなのです。

 

次回はすこし自転車メーカーらしいお話をしたいと思います。

 

 

Text by Shinya Tanaka
Photo by Rie Sawada

 

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