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2016/2/2
[Bike 伊豆 between you and me] 人と鹿と命の考察。

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天城高原の鹿

 

日本全国であまりに増えすぎた鹿による農作物の被害が報告されていますが、こちら伊豆も例外ではなく、山沿いの田畑は鹿除けの電気策で囲われていることがとても多いです。

伊豆はワサビ生産が有名ですが、鹿はワサビでさえ食べてしまいます。

人間以外の動物が受け付けることのないはずだったワサビですが、食糧難の鹿は味の選り好みをしなくなってしまうそうです。

あらゆる農作物を食べつくしてしまう鹿ですが、樹木の表皮をも食べてしまうため、木々は枯れてしまいます。

それだけに留まらず背の届く高さであれば、山に自生するあらゆる植物を食べつくし、食べるものがなくなると落ち葉をも食べつくし、山は表土剥き出しで保水力を失い土砂災害を引き起こしやすくなってしまいます。

画像の天城高原は時々トレーニングの為に足を運ぶのですが、こちらは禁猟区ということもあり9割以上の確率で鹿と遭遇します。

また通勤で伊豆の廃れた旧道を通るのですが、恐らく週に一度くらいは鹿を見かけていると思います。

鹿に遭遇した時のエピソードを求められることもありますが、多くの人が野良猫とのエピソードを持ち合わせていない様に、ぼくも鹿とのエピソードは特に持ち合わせていません。

ただし、気を付けていることがあります。

運転中に前方を一頭の鹿が横切るとすると、ぼくは徐行します。

鹿は単独行動よりも群れている可能性が高いので、茂みから他の鹿が飛び出してくると考えるのです。

大きなオスの個体では100kgを遥かに超える体重になるので、万が一でも衝突した場合、自動車は直すよりも買った方が安いということになりかねません。

 

そもそもなぜ鹿が増えすぎてしまったのか。

100年ほど前は、人による乱獲のせいで生息数は危機的状況に陥ったのですが、その後、鹿の保護活動が全国的に加速しました。

しかし鹿のその繁殖力の強さと、個体数の把握管理がずさんであったことが原因で、人が知らないうちに思っていたよりも増えすぎてしまったということなのです。

その間に猟友会は高齢化の一途をたどり、鹿の増加に歯止めが掛けられない状況が日本全国で起こっています。

鹿は人のせいで減少し、人のせいで増えすぎました。

1平方キロメートルにつき2~3頭の生息数が健全な山とされる中で、伊豆では25頭前後が生息していると言われています。

 
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可哀想にも人に翻弄され続けている鹿なのですが、今後さらに増えると仮定し、考えられる最悪の状況というのは、頻繁に起こり続けることになる土砂災害による人的な被害、そして完全に枯れ果てた山々には鹿自身も含む、あらゆる生き物が生息できなくなっていくということも上げられます。

我々は最大限の懺悔を決して忘れることなく、人は鹿を計画的に減らしていかなければなりません。

最近までは、猟で命を奪われた鹿は主に山中に埋葬されていましたが、伊豆市にはイズシカ問屋という公共のサービスが始まり、せめて奪ってしまった野生の命を無駄にしないためにと、積極的に鹿の買い取りを行い、徹底的に管理された加工場にて精肉され、伊豆市と近隣の町の精肉店にジビエとして卸しています。

ご興味があるかたは、静岡県のホームページでも詳しく掲載されていますのでご覧いただければ幸いです。

 

また、いかなる理由であれ、野生動物の命を奪うということに賛同できない方も多いかと思います。

どれだけの懺悔をしたとしても人の罪は許されることではありません。

人は人の命に比べ、他の動物の命を軽視しているということを考える方もいるかもしれません。

まったくもって、その通りなのかもしれません。

なのですが、伊豆のみならず日本という国土のほとんどが山岳地であるという事実を踏まえて、明日脅かされる人の命とは、もしかしたら友人かもしれませんし、家族かもしれませんし、自分自身なのかもしれません。

鹿の種の存続の為と、身近な人の命を危険に晒さない為にも、伊豆を含む山沿いの地域の人々が再び犯すことになるであろうをどうか知っておいて頂けたらと思い、若干ヘビーな内容ながら、今回も筆を執らせていただきました。

 

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免罪符というわけではありませんが、GnomeのTシャツを買いました。

実を言うと別のプリントのものを欲したのですが、シムワーカー ヤナック氏に「おいエビ、これならどうか」と勧められたのがこのDeer VS Hunterでして、その送られてきた画像を見てハッと思ったのでした。

これは伊豆の山で生きるぼくが着るべきTシャツだなと。

自然は人を恐れていますが、人は自然を畏れなけれななりません。

 

でも猟師の前では着れないかもしれません。

 

 

text : Hiroki Ebiko / SimWorks XC Racing [Blog] [Instagram]

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COMMENT

  • 嶋田悟製革所

    こういう野生動物の革も無駄なく利用できたらいいですね。 自転車好きのタンナーより

    • Sim Works XC Racing

      まさしくその通りですね。殺めた野生動物の皮革製品ということをちゃんと理解するなら、製品を大切に最後まで使いきることが出来る人が増えそうですね。