FEATURE
2015/5/5
KINGをめぐる冒険(上) / GOURMET CENTURY RIDE

Photo by Rie Sawada / Text by Shinya Tanaka
KINGをめぐる冒険(上)/ GOURMET CENTURY RIDE

何事も真剣にやるほうが楽しい。
と僕はいつも思っている。

真剣に恋をしたり、真剣に喧嘩したり、たまには真剣に勉強したり、でもやっぱり真剣に遊ぶのが一番楽しい。
と僕は本当にいつもそう思っている。

ChriKingの主催する “GOURMET CENTURY” がポートランドにて再始動してもう4年がたつ。
一度は必ず行ってみたいと長年思っていたイヴェントのひとつだ。
真剣にモノ作りに取り込む会社が真剣にライドルートを構築し、真剣に食事のメニューを考えて、そして真剣に一緒になって遊ぶ。
これはもう楽しくないはずがない。 確信は僕の心を鷲掴みしたのである。

チケットは毎度の事ながら即完売。
度を追うごとに洗練され、アメリカ国内の自転車関係者ですら参加する事がままならないほどの人気になっているこのイヴェント。
今回が一番良かったと言う参加者と主催者側の何人かと会話することができた。

その意味を聞いて少し唖然となったのが、今までの回は “too gorgerous”であったという。一所懸命になり過ぎて食事もライドも出来過ぎやり過ぎであり、また主催者曰くあまりにもポートランドに関係のない ”美味しいもの”を食べさせ過ぎた、と。
そこで今回のGOURMET CENTURYは本来のテーマに立ち返った訳なのだが、それはズバリ “All About Portland” だった。
食材、シェフ、ライドコース設定とすべてに渡りポートランドにまつわるものを参加者に感じてもらうという事だ。

今回のメインディッシュ担当のJason French, Ned Luddという現在のポートランドを代表するレストランのオーナーシェフであり、生粋のサイクリストである。(今年のNAHBSに彼がオーダーしたとてつもなく格好のいいIRA RYANの運搬車を覚えている人もいると思う。)

TRUCE BAGのLukeも納車されたばかりのCieloで登場。
エントリーには多少の時間が掛かるのだが会話がそんな事を気にはさせない。
Jay is always working hard.

まずは朝食である。

典型的なアメリカンブレックファーストをビュッフェ形式での提供なのだが、食材がフレッシュで当然使っているオイルやバターもあっさりしていて一般的な日本人が想像するアメ飯的なグリーシーさの欠片もない。
エッグの写真を撮りそこなったが残念なのだが、僕はこのアメリカンブレックファーストに恋い焦がれ、そしてアメリカに留学する決意をしたのである。

と言うのは嘘だけどここで余談。ChrisKing本人は若かりし折、日本食のシェフになるのを憧れて料理学校に行った経験を持っている。
また上段の写真に写っているJaySycipもSycip Design時代に少しオーダーが減った時期、自身でカフェを経営していた事もある。
そして私は17から2年間、某高級寿司屋の出前をチャリで運んでいた事実もある。
皆、生粋の食の人々である。

Riding with ChrisKing. Go go go!!!
Riding on Tandem by nice couple.
補給食
Electraでの参加、ちなみに彼女も100kmを完走しました。

このおじ様が素敵なのである。

足の筋肉を見れば分かるのだが相当の健脚の持ち主。Raphaの着こなしは目を見張るものがあるし、自転車のアッセンブリーに関してもとにかく素敵なのである。

少し細かく言うとこれは現状で手に入るパーツのみを使用した650bのランドナー。タイヤはGrandBois、クリップペダルにアヘッドという仕様。

往々にして日本人の作るランドナーは過去に浸りがちなのだけれど、こういったアッセンブリーができるとまた新しい層のツアラーが増えるのではないかと思った好例。

Beautiful countryside of Portland

昼食。

こちらもまたフレッシュなチキンバーガーとピクルス。おまけにフルーツがたんまり入ったBENTO BOXが渡されて各々がゆっくりと流れ行く時間を楽しむ。

そしてRaphaおなじみのCoffee Vanが登場してライダー達にひとときの安らぎを与えてくれたりする。

そしてまたそれぞれがそれぞれのペースで走り出す。

やってきたのはChrisKingの自宅。

フードのサーブ先はChrisKingのガレージである。

当然本人がコーヒーをサーブする。
Family
yum yum yum.

現在でもここでChrisKing自身がフレームの製造を行なっている。
主にはサンプルなのだが、友達や長年にわたって働いてくれたワーカー達に感謝の意を表して作ることも少なくない。
僕はなんとかして彼に1本作ってもらう事が夢にあるのだが。。。

ここからはあと20Kmというなんとも嬉しい情報を得てもう一踏ん張り。

今回は初めての日本からの参加となりチームジャポンとみんなから呼ばれながら楽しくライドできました。

以下に私のSTRAVAを張っておきます。このルートはThe100と呼ばれているポートランドを代表するロングのルートのひとつ、ここから足し算引き算をして色々なコース設定も出来るのだとか。

ぜひポートランドに遊びに行こうと思っているライダーは参考にしてみて下さい。

そして夕食に突撃。

朝一番から焼かれた豚さんはみんなのお腹にキレイに収まり、部位によって味が少しづつ違うという何とも贅沢なメインを中心に、サラダはもちろん産直の野菜が中心に。 そして本当に美味しかったチョコレートガナッシュにはもちろんポートランドと言えばのベリー添え。(前日に食べたストロベリーのピクルスもまだ僕の脳裏に焼き付いている。。。)そしてとっても繊細な味のチョコレートをChrisKingのカフェで食べれる幸福感たらない。

この世界の基本は “衣食住” の三原則の上で成り立っているのだ。

例えば自転車そのものは “住” に含まれると私は考え、あるものは靴と同じくして“衣”と捉える事も出来るであろう。 なんであれ “食” するための移動に用いられるモノを中心にしてこの三原則を捉えることができるのならばこれほど完璧な世界観のあるイヴェントはないであろう。

いやそこまで難しく考えるほうが野暮なんだろう。
単純に美味しいものが食べたいと言う衝動があればどこまでもいけるのかもしれないし、その衝動こそがいつも旅や冒険のキッカケなはずなのだから。

そしてやはり楽しい時を過ごす為の最大の方法は、とにかく真剣に向き合うという事だと思うのだ。 それは色々な種類の真剣があればいいとも思い、実直に向かい合うという真剣さや、余裕な振りをしてみても中身はけっこう真剣だったり、もしくは真剣に逃げ切ったりとか様々で良いのだ。

ならば僕は真剣に人生を遊びたいと思い自転車を選んだのだけれども、遊び方にも様々な方法があるのだし、それぞれのカラフルで真剣な遊び方をもっと持ち寄って、一緒に様々なバカができたりするとやはり世界は楽しいと思えるのだろう。

今、そんな真剣な遊び人仲間が自転車を通して僕の周りを囲み出している。
そしてそんな人生や世界をいきている事に歓びを感じ、僕の中の自転力が日々高まっていくはずだから。

そんな幸せな時間をみなさんにも過ごしてもらいたいので、来年の “GOURMET CENTURY” には10名くらいの参加枠をもう予約しておいた。 スケジュールが決まり次第情報を上げていこうと思っているので、ぜひSimWorksの動向をFBやBlog等でフォローしてくれると嬉しい。(SimWorksの FacebookTwitter

今回はかなりグルメリポーター化してしまった感のあるFEATUREだけども (美味しいものことを知っていることは大事!)、次回のFEATUREは斯くして真剣に遊びを見つめたが故に生まれてきた”Cielo by ChrisKing” についてもうすこし少しお話しできればと思っています。

See you soon,


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